ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

ケアマネジメントとソーシャルワークの関係⑮ソーシャルワークでのケアマネジメントの位置(2)

2009年06月09日 | 社会福祉士
 日本においても、介護保険下の介護支援専門員がケアマネジメントを実施することになっているが、この資格は社会福祉士等のソーシャルワーカーに限らず、介護福祉士、看護師、医師、OT、PT等も可能となっている。現実には、介護支援専門員の資格を有している専門職で最も多いのは介護福祉士や看護師であり、両者で大多数を占めている。こうしたなかで、日本社会福祉士会は、社会福祉士をケースマネジメントの中心的担い手として位置づけるべく、研修・出版等で、社会福祉士のケアマネジャーとしてのレベルアップを図っている。

 現実には、多くの専門職がケアマネジメントにかかわっている以上、ソーシャルワーカーが実施するケアマネジメントの特徴を明らかにし、その独自性を強調していくことが必要である。そのためには、まずは、ソーシャルワークとは何であり、それがケアマネジメントといかに関連しているかが明らかにされなければならない。

 ソーシャルワークの機能として捉える場合に、ポーリン(John Poulin, Strengths- Based Generalist Practice : Collaborative Approach, 2005, Thomason Learning,p.4~5)は、ミクロの個人・家族やメゾの小集団を対象にした介入方法は、カウンセリングとケアマネジメントからなるとしている。ケアマネジメントについては、具体的に、以下の5つの機能からなっているとしている。

①サービスとの連結(ソーシャルワーカーは利用者を見つけ出し、他の制度やサービスとつなぐよう支援する)、
②サービスとの調整(ソーシャルワーカーは利用者の生活に関連する多様なサービスや専門職と調整し、利用者にサービスが一体化され、共通の目標を有するようにする)、
③サービスとの交渉(ソーシャルワーカーは利用者が他の制度やサービスとぶつかる障碍に打ち勝つよう支援する)、
④資源の動員(ソーシャルワーカーは衣食住、家具、収入、ないしは健康のケアといった必要な資源が得られるよう支援する)、
⑤利用者の弁護(ソーシャルワーカーは利用者の権利について教育し、弁護的な方法について教え、利用者のニーズに機関や資源が対応するよう圧力をかけるよう振り向ける)を実施することである。

 そこでは、ソーシャルワークは「人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する」ということを基礎にしており、ケアマネジメントがめざしていることに全く合致しており、ケアマネジメントがソーシャルワーク実践の中核の機能を占めるといっても過言ではない。具体的には、ケアマネジメントは人々と社会制度(システム)を結びつけることを中心としており、さらには人々の内的な発展や社会制度(システム)の改善をめざすものであるからである。

 ただし、ソーシャルワーク実践全体との関係でケアマネジメントがどのような位置づけになるかは、ケアマネジメントの機能をどこまで拡げてとらえるかによって変わってくる。表に示した3つのモデルをもとに検討してみると、「最小限モデル」の場合にはケアマネジメントはソーシャルワークのごく一部であるが、中核的な機能を果たすことになる。また「包括的モデル」でケアマネジメントをとらえるとするならば、ケアマネジメントはほぼソーシャルワークそのものといえる。



 このようにソーシャルワークとケアマネジメントの関係を整理してきたが、ソーシャルワーカーが実施するケアマネジメントの独自性として、人々と環境との関係の障害として生活ニーズをとらえることにある。さらには、この生活ニーズを社会制度と結びつけ、ひいては人々の対処能力を高めたり、社会制度を改善していくことに目を向け実施していくことに独自性がある。このような独白の視点をもつことにより、ソーシャルワーカーの行うケアマネジメントは、他の専門職に比べてより効果的に利用者の在宅生活を支援するものになることができるといえる。

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