ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

「ソーシャルワーカーの専門職としての価値とは」再考(上)

2009年08月25日 | 社会福祉士
 ブログでは、ツールメニューがあり、どの日の項目が読まれたかが毎日データで読むことができることになっている。その結果分かることは、決してその日に書いた新しい内容がトップで読まれているとは限らないことである。

 私は、このことだけは毎日チェックしている。それは、私のブログにアクセスしてくれた人々のニーズが分かるからである。最近の動向は、介護職員処遇改善給付金関係の項目が、常にベスト10に入ることが多かった。

 古くに書いたものでは、2008年6月23日の「ソーシャルワーカーの専門職としての価値とは」が、良く読まれている。それは、ソーシャルワークの価値は大切であるが、それのみにしがみ付いていると、専門職としての独自性が出しないのではないかと問題提起した項目である。逆に、ソーシャルワークの目的や方法といったことでの独自性や固有性を示す活動ができない限り、専門職連携の中で、生きていけないという危機意識を書きたかった。

 この思いは、今も変わっていないし、この危機をどう克服するかで、私自身も苦悩しているということである。

 社会福祉士(ソーシャルワーカー)、介護支援専門員、介護福祉士、医師、看護師はいずれも対人援助(支援)職といわれ、根本的には同じとは言わないが、極めて類似の価値観をもっている。その基礎には、人間に対する尊厳といった価値をもっている。その結果、例えば、介護保険法第一条で利用者に対する尊厳の保持を謳っており、当然のこととして、上記のすべての専門職は、この尊厳の保持を基本的な価値として業務を遂行していくことになろう。

 尊厳の保持から引き出される一つの価値としての、利用者の自己決定の原則を例にとると、医師は利用者の生命を守る立場から、以前はパターナリズムが強かったが、先進的にインフォームド・コンセントの考え方を導入し、自己決定を基本的な考え方にしてきている。確かに、宗教的な考え方から手術や輸血を拒否する人に対して、生命を守るという医師の使命のもとで、医師が価値のコンフリクトや揺らぎが生じることも確かである。一方、ターミナルケアの領域では、患者さんの自己決定が当然の時代を迎えつつあるが、このようなことは、多くの専門職が類似の価値観を共有できることとして、歓迎されるべきことである。

 こうした医師の価値やそこでのコンフリクトは、ソーシャルワークも同様にもっているものであり、専門職を価値の違いで独自性を強調できないと考えている。ソーシャルワークは独自の方法(技術)でもって、独自の目的を達成していくことを強調すべきであると考えている。