ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

「主任介護支援専門員」研修会の位置づけの不思議

2009年08月18日 | ケアや介護
 多くの都道府県では、今年の主任介護支援専門員研修会は回数や定員を倍増して実施している。いくつかの研修会に講師として伺ったが、いずれも大盛況である。それは、特定事業者加算Ⅱをとるために必要であるからである。さらに、加算の関係もあり、厚生労働省は、受講希望者を拒んではならないと指導している。

 主任介護支援専門員研修の受講者層はこの4年間で、目まぐるしく変化してきた。4年前の改正で新たに地域包括支援センターができ、初年度の受講者は、当然のことであるが、受講者は地域包括支援センターに配属される主任介護支援専門員の資格を求めてのものであった。

 ところが、その後の2年間は、地域包括支援センターの職員というよりは、居宅介護支援事業者のケアマネジャーが圧倒的に多くなっていた。この受講理由は、ケアマネジャーが自らの能力を高めたいがためであった。さらには、地域に中でリーダーなりスーパーバイザー的役割を果たしたいという思いからであった。例えば、大阪府の主任介護支援専門員研修での受講者資格には、地域のリーダーとなっているか、なる自覚があるかどうかが、、研修会受講の1つの条件になっていた。

 しかし、今回の介護報酬改訂で、特定事業者加算の敷居を低くするⅡが新設され、この加算を取りたい事業者のケアマネジャーが多数参加している状況である。そのため、受講対象者は、猫の目のように毎年のように変わっている。そのため、受講生の視点からすれば、講義内容も毎年のように変えざるを得ない側面もある。

 この主任介護支援専門員の法的根拠をみると、まずは地域包括支援センターに配置することが「介護保険法」に位置づけられており、そこでの研修の要件や内容が「主任介護支援専門員研修要綱」に明記されているに過ぎない。その意味では、介護報酬の特定事業者加算の要件に主任介護支援専門員が位置づけられてはいるが、法的には、地域包括支援センター職員としてのものであり、ケアマネジャーとしての水準を高め、スーパバイザーとして養成していくことを目指すことを目的にしたものではない。

 その意味では、「つぎはぎ」的に主任介護支援専門員を位置づけるのではなく、ケアマネジャーのキャリアパスの一貫として位置づけ、研修内容は居宅介護支援事業者や地域でのスーパーバイザーとしてだけでなく、施設の管理者としても育成していくカリキュラムを構築していく必要があるのではないか。当然、この研修を構造化することで、ケアマネジャーの社会的地位や待遇を高めることに位置づけるべきである。