形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

少年探偵団、尾行する

2009-02-15 06:49:19 | 昭和の頃

小学生のとき、江戸川乱歩の「少年探偵団」が大流行し、さっそく友だちと
探偵団を結成した。 何を探偵すればいいかわからないから、とりえず怪しい
人を尾行することにした。

ラジオの少年探偵団は、あとをつけるとき、後ろから来る仲間に知らせるた
めに王冠を道に落としていく。 それがなんかカッコよく見えた。だから、
私たちも真似をして、瓶のジュースやビールのフタの王冠をひろい集めた。
これをズボンのポケット一杯に入れて、町をいくアヤシイ人を尾行するのだ。

「怪しいおじさん、いないかな~」 
「あのおじさん、怪しいんじゃない?」
「うん、怪しい、怪しい」
早い話、誰でもいい。 女の人はあまり怪しく見えないから、おじさん限定である。

テキトーに怪しいおじさんを見つけると、一人があとをつける。その後ろに
少年探偵団一行がそれぞれ身を隠しながらついていく。 先頭が、途中、途中
で目印の王冠を道に置いて仲間に知らせる。 王冠を見つけた後方の探偵団は、
ヤツはこっちに行ったんだな、などとつぶやく。 ハッキリいうと、王冠を置く
必要はない。 なぜかというと2、30メートルしか離れていないから見えてる。
でも、すでになりきっている私たちは、少年探偵団のように置きたかった。
右に曲がるときは、∟のように3個置く。左は反対に。

今思い出すと、他の人から見たら、ミエミエで植え込みに隠れていたり、人
んちの門柱にお腹を引っ込ませて身を隠していたりと丸見えだった。
あとをつけていったら、途中で王冠が切れちゃったとか、思いがけず
近所の家でがっかりしたりと、なかなかうまくいかなかった。
たまに尾行に成功すると、こんどは張り込みになるが、いつも何事も起きず、
しまいにお腹が減ってみんなで帰った。



形之医学・しんそう療方 東京小石川
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