Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α31D「女」朝倉響子, --?.

2023-06-02 | Exhibition Reviews
 ぐっと握りしめた両手に込めた力をありありと感じるものの、そのうつむいた顔を覗き込もうとしても、その表情を窺い知ることはできません。

 "なぜ、〈わたし〉がそう思うのか?"

ありとしあらゆるものは、言葉によってその意味が自ずから分かれ、その意味に応じて幾つもの限り無い自分の〈世界〉が存在するのかもしれません。

 ところで、眼前の彼女は、過剰に積み重なったなんらかの意味が生成した〈世界〉から逃れようとしているのかもしれません。

 ひょっとしたら、その表情を窺い知ることができないのは、その〈世界〉の意味を言葉によって自ずから分けられないと躊躇する一方で、これから始まるであろう限りない〈世界〉をも暗示しているような気がします。

初稿 2023/06/02
写真「女」朝倉響子, --?.
撮影 2023/01/25(東京・平河町)

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