Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§51「国盗り物語」(斎藤道三) 司馬遼太郎, 1965.

2016-08-05 | Book Reviews
 京都 妙覚寺の僧侶 法蓮房、還俗した名は松波庄九郎。いつのまにか、油問屋の奈良屋に婿入りし、いつのまにやら、屋号を山崎屋として継承し、その主に納まり、国主になることを謀りし者。

 いつしか、美濃守護大名 土岐氏の家臣として、西村勘九郎正利を経て長井新九郎規秀と称し、ひいては、美濃守護代 斎藤新九郎利政に至る。

 美濃守護大名の座を虎視眈々と狙い、射止めた彼の行動原理は、京都 妙覚寺の僧侶時代に逆説的に得た無神論と神仏なき世における集合的無意識を制御しうるのは利害関係と損得勘定に他ならないことなのかも知れません。

 中世の荘園体制下に経済原理を導入し、下克上の先駆けとして美濃を平定した斎藤道三。彼もまた逐われることになりしが、彼の娘 濃姫が嫁いだ織田信長が、天下布武を掲げて戦国の世を平定していく姿には、将たる者にすべからく必要な資質と能力が継承・進化していく過程が刻まれているような気がします。

初稿 2016/08/05
校正 2021/09/19
写真 国破れて山河あり 城春にして草木深し
撮影 2016/04/30(兵庫・竹田城)

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