Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#6「空と舟の均衡 」

2012-10-26 | Liner Notes
 最近あまり使わなくなりましたが、「弩級(どきゅう)」という言葉がありますが、イギリスのドレッドノートという戦艦の頭文字が由来です。

 弩級戦艦とは単一大口径の主砲群による射撃管制機能を持つ艦船であり、その目的は相手の手が届かないところから攻撃して撃沈すること。そのためにはいかに遠い距離から、いかに多くの弾を放ち、いかに命中させることが目標とされました。
     
 いかに大きい弾をいかに遠くへ放つ大砲をいかに増やし、かついかに正確にいち早く着弾させるという思想が、「大艦巨砲主義」と呼ばれ、その集大成が戦艦大和です。

 口径46cm、三基九門の三連装主砲が重量1.5t、長さ2mの徹甲弾を連続的に装填斉射、有効射程距離40kmの彼方へ着弾点の観測と距離補正を行いながら命中率を向上させることを可能としました。日清、日露の戦勝体験に基づく技術開発の延長線上では比類なき歴史上の最高傑作。

 造形美としてでなく技術史の観点から、空から飛来する航空機によって決して沈むはずがないと考えられた戦艦が沈んだ史実をどう捉えるか。意外と今の日本でも同じような話があるような気がします。

初稿 2012/10/26
校正 2021/04/24
写真 映画「男たちの大和」実寸大模型
撮影 2006/01/08(広島・尾道)

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