序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

視界良好

2011-11-03 11:32:28 | 日記・エッセイ・コラム

Samil_omo
劇団芝居屋第22回公演「スマイルマミー・再生」の稽古も最後の追い込みとなりました。

この時期一番注意しなければいけない事、確認しなければならない事が役の「視界」です。

「視界」。文字通り、目で見通せる範囲の事です。

役者の視界は稽古のそれぞれの段階で大きく変わります。

稽古の初期段階の役者の視界は非常に狭まっています。

これは役者が役を把握できるまで間、言葉そのものに支配され非常に近視眼的になっているからです。その時期役者の視界の中には相手役しかいません。

やがて、役を創り始めると役者自身が自分を囲む状況を理解する必要に迫られます。

それによって役者の視界は広がりをみせます。

しかしその視界は役者自身の視界であって役の視界ではありません。

それは稽古を重ねる事によって得られた役者自身の余裕がもたらした視界です。

役の視界とは、役者の役創りの完成度によって変わります。

稽古終盤、その場の登場人物としての「視界」を役者は手に入れます。

この「視界」は役の内的な感情の動きによって広がったり狭くなったりします。

冷静な時は「視界」が広がり、感情的な高ぶりは「視界」せまくします。

こうして劇的視界を役者は手に入れるのですが、稽古場稽古だけでは十分でない要素があります。

ここで問題になるのは、稽古場という不完全な劇空間を意識する事です。

これは劇団芝居屋の例ですが、稽古場は公共施設です。そこには劇空間としてあるべき遮蔽物がありません。つまり具体的に視界を遮るものを稽古の中で作ることが出来ないわけです。

ですから、ここに壁があって見えないつもりといった「つもり」稽古をしなければいけせん。

この「つもり」というものが曲者でこの中で役者は自分の都合のいいように変えていく原因にもなるのです。

それを具体的舞台空間に合わせて組み立てなおすことが必要になってくるのです。

そうしてもう一度、自分の視界を疑って、自分の役の視界を組み立てなおすのです。

これは結構重要な事なのですよ。

これやあれやを考えながら劇団芝居屋第22回公演「スマイルマミー・再生」の幕が上がるということです。

乞うご期待!!


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