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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『桟敷席』

2015-08-18 06:22:36 | 美術ノート
『桟敷席』奇妙なまでに不安を掻き立てる絵である。
 舞台に見入る女の子の背後には、双頭の女性が椅子に腰を掛けている。桟敷席だから高いところに位置しているわけだけれども、床面が傾いでいるし、海(波)を思わせるタッチがある。

 この暗い絵…窓の向こうは、少なくともこの席よりは明るく見える。この部屋の暗い空間に比して少女の着衣は白、背後の女の着衣も明度の高い彩色。(つまりこの二人は部屋の中で浮いている、というか異質な印象である。)

 双頭の女性には頭髪がない。双頭の鷲は皇帝権力の象徴である。権力を暗示しているのだろうか。多く紋章に用いられた双頭の鷲・・・帝国の権力下の不安な情勢の具現化かもしれない。
 少女が聞いているのは、ワーグナー作曲の「双頭の鷲の旗の下に」という楽曲なのだろうか。


 暗く(壁)不安定な(床面)部屋。桟敷席から聞き入る少女の背後に潜む大いなる不安や圧力は、少女が背負うには重すぎる闇の空間である。

 双頭の女性は、少女を背後で守ろうとする存在なのか、少女を支配するものなのかは不明。ただ彼女の眼差しは優しく見えるし、小さな手や小さな靴は、権力を振りかざす手足ではないように思える。

 少女の背後は、少女の精神の具現化としての部屋および双頭の女性なのだろうか。少女と双頭の女性との関係性が見えない。双頭の女性は脅威なのだろうか、光りのない暗澹を予兆させるものなのだろうか。


 皇帝の支配する帝国における一抹の不安、未来の時間を多く有する少女に去来する胸の内を、密やかにも開示して見せたものかもしれない。


(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『銀河鉄道の夜』51。

2015-08-18 06:11:27 | 宮沢賢治
六年生なんか授業のとき先生がかはるがはる教室へ持って行くよ。一昨年修学旅行で


☆録(文字に書き記す)念(思い)の照(あまねく光があたる=平等)を需(もとめる)。
 凝(神経を集中する)千(たくさん)の章(文章)を供(申し立てる/述べる)。
 質(問いただす)字(ことば)の考えが逸(隠れている)。
 策(くわだt)の念(考え)は周(あまねく)楽(心が和む)慮(あれこれ思いめぐらす)考えである。

『城』2056。

2015-08-18 06:00:18 | カフカ覚書
残るひとりのアマーリアは、ストーブのそばの長椅子にふとんをかぶって寝ていたが、Kがやってきたのにおどろいてとび起き、気持ちを落着かせるために、額に手をあてた。


☆最後の作り話は、あからさまな不安でで覆われていた。Kが現れたのに驚いて立ち上がり、一族の凝視でまわり中いっぱいになった。