特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

“まさか”が人を殺す

2005-06-08 23:53:36 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温18.3度。最高気温27.7度。相変わらず蒸し暑い。

 韓国語を翻訳していて、難しいのはことわざの類(たぐい)だ。
 韓国語の意味は理解できても、日本語でどのようなことわざを使えばいいのかが思い浮かばない時が多い。

 延世(ヨンセ)大学の韓国語学堂(ハングゴハクタン)で韓国語を学んでいる時に、ことわざや成句も授業中に幾度と無く取り上げられた。

 しかし、ことわざや成句の持っている本来の意味は理解できるものの、それを日本語ではどう言えば良いのかまでは教えてくれない。これは媒介語(英語や日本語)などを一切使わず、目標言語(韓国語)だけを使って教える外国語教授法「直接法(ダイレクト・メソッド-direct method)」の限界と言っても良いだろう。
 何せ韓国語学堂(ハングゴハクタン)には世界各国から学習者が集まってくる、クラス全員が同じ言語を母語とする学習者とは限らない。また、媒介語として英語を使用しても、英語が解せない学習者も多いので、こればかりは仕方が無い。

 韓日辞典に当たって見て、お目当てのことわざや成句が載っていれば問題はない。しかし、圧倒的に少ない。そんな時は韓国の日本語学習者のための「日本語ことわざ辞典(ソクタム サジョン-속담사전)」などが便利だ。

 私は1987(昭和62年)に角川書店から出版された孔泰(コン・テヨン-공태용)編『韓国の故事ことわざ辞典』を学生時代から愛用している。定価を見ると3,920円もして当時はとても高価だった。しかし、今となっては買っておいて良かったと思っている。

 韓国に「まさかが人を殺す(설마가 사람 죽인다.)」ということわざがある。
 「ソルマ=설마」は「まさか」とか「よもや」という意味。以下、
 「-ガ=-가」が「助詞の-が」※元来の発音は「カ」であるが母音と母音に挟まれた「ㅂ,ㄷ,ㄱ,ㅈ」の子音は濁音化するという規則があるためここでは「ガ」と発音される。
 「サラム=사람」が「人」
 「チュギンダ=죽인다」が「殺す」という意味にそれぞれ該当する。

 韓国語の文法は日本語と非常に似通っている。いわゆる「こ・そ・あ・ど」や「て・に・を・は」もある。一般的に日本語文法で“うなぎ文”と呼ばれる「ぼくはうなぎだ(私はうなぎを注文する)」や「象は鼻が長い」という表現も日本語同様可能である。

 因みに先ほどの「まさかが人を殺す(설마가 사람 죽인다.)」ということわざを日本語に訳すと、「千慮(せんりょ)の一失(いっしつ)」、「寸鉄(すんてつ)人を刺す」ということで「油断してはいけない」という意味になる。

 写真は西大門(ソデムン-서대문)交差点(サゴリ=사거리)の陸橋に掲げられた交通標語。標語は次のように書いてある。
 「버리세요 설마의식 지키세요 교통질서(捨てよう“まさか”意識 守ろう 交通秩序)」
 「ポリセヨ ソルマウィシッ チキセヨ キョトンチルソ」

 油断をすると他人の命はもちろん、自分の命まで落としかねないということである。ソウル市民よ、安全運転!

 今日は、韓国の国会議事堂(クックェウィサダン)KBS(ハングッバンソン)がある汝矣島(ヨイド-여의도)で、韓国の友人と昼食を共にした。友人とはおよそ二年ぶりの再会だ。美味しいと評判のインド料理店でインドカレーと洒落込んだ。

 チキンもビーフカレーもナンも本格的で美味しい。全国に六店舗あるそうだが、ここ汝矣島(ヨイド-여의도)店にはテレビ局が近くに多いこともあり芸能人も数多く訪れるとのこと。それだけにランチでも“それなりのお値段”でした。美味しいインド料理でお腹が一杯になった上に、友人が奢ってくれたので「シ・ア・ワ・セ」な午後のひと時でした。感謝! 

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