特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

最古は最高

2005-06-07 22:42:52 | Bravo!韓国語
 晴れ時々曇り。最低気温18.3度。最高気温25.1度。

 韓国は軍事政権時代、政府に対する批判などが自由に出来ませんでした。
 そんな影響もあって、以前は大統領や政府の政策をユーモアで笑い飛ばす「ジョーク集」のようなものが流行っていました。有名なものを一つご紹介しましょう。

 某大統領がある博物館を訪れました。
 館長が大統領のそばで、展示物について一つ一つ説明しています。
 古い土器が展示されている前での会話です。

 館長:「大統領閣下、この土器は今から3,000年前のものでございます」
 大統領:「館長!君は私に嘘を言うのかね?これは3,000年前のものではない!」
 館長:「いや、確かにこれは3,000年前のもので間違いございません」
 大統領:「これは3,005年前のものだ!私が五年前にここを訪れた時に、君は3,000年前のものだと言ったではないか!」
 
 韓国内の最新ニュースを手っ取り早く知ることが出来るこのサイト皆さんも利用されていることと思います。

 韓国語の記事を日本語で読めるのでとても便利です。
 日本語が不自然だったり、“こなれていない”のは仕方が無いと思います。でも、明らかに誤訳と判る記事が掲載されている時があります。

 今年の一月に掲載されたこの記事(短い記事なので、時間がある方は読んで見て下さい)。

 この記事の二段落目の“ソウル市は5日、「市立美術館、ソウル駅舎博物館”と書いてあり・・・。
 四段落目を見ると“例えば、入場料700ウォンの市立美術館を観覧した市民が、美術館のチケットを持って14日以内にソウル歴史博物館を訪れると・・・”と書いてあります。

 韓国語と、ソウル市内の博物館についてご存知の方なら、どこが誤訳かお判りになりますよね。 
 実は二段落目に書いてある“ソウル駅舎博物館”と四段落目の“ソウル歴史博物館”は同じ博物館なんです。ソウルには“ソウル歴史博物館”はあっても、“ソウル駅舎博物館”はありません。

 ではなぜこんな間違い(誤訳)が生じたのか?

 それは、韓国語で書くと両方とも「서울 역사 박물관(ソウル ヨクサ パンムルグァン)」になってしまうからです。韓国語では「駅舎」も「歴史」も「ヨクサ=역사」と表記することから生じた誤訳です。この博物館名に漢字が併記されていたら決してあり得ない間違いです。また、漢字が表記されていなくとも、ソウル市内の博物館の事情に詳しければ“ソウル駅舎博物館”という誤訳はしないはずです。

 不思議なのは四段落目ではきちんと“ソウル歴史博物館”と訳してあるところです。韓国語の記事を自動翻訳ソフトで訳し、それをそのまま掲載してしまったのではないかと思います。

 韓国語を自動翻訳ソフトにかけると、このような誤訳が頻発します。自動翻訳機はソウルにある博物館名まで正確に把握していませんから。

 確かに、以前ソウル駅(旧駅舎)の構内には“鉄道博物館分館”というのがありました。
 しかし、昨年(2004年4月1日)ソウル駅が新築移転された際に閉鎖され、現在は地下鉄一号線の「儀旺(ウィワン=의왕)(旧 富谷プゴク=부곡)駅」近くの鉄道博物館に全て移転展示されているそうです(日本語での案内はこちらのサイトを参照)。

 最近すっかり漢字を使う機会が無くなった韓国では、「駅舎」と「歴史」のように漢字が併記されていれば間違えないような、同音異義語による間違いが時々起こります。

 初めに出てきた大統領と館長。今度は朝鮮白磁が展示されている前にやって来ました。

 館長:「大統領閣下、これが我が国“最古(チェゴ=최고)”の白磁と言われております」
 大統領:「こ・れ・が・か・・・?」
 館長:「はい。左様にございます(先ほどの失敗を恐れて、何年前のものとは言えません)」
 大統領:「一部が欠けていて、沢山ひびも入っている上に、これだけ薄汚れているもののどこが、我が国“最高(チェゴ=최고)”の白磁だと言うのだ?嘘を言うな!嘘を!」

 次の日、博物館には新しい館長さんがやって来たそうです。

 写真はソウル駅の旧駅舎(昨日(6/7)撮影したもの。歴史的建造物として、以前あった場所にそのまま保存されています)。

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