特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

庭石のようなモノ

2005-05-22 14:17:34 | ソウル見て歩き
 曇り一時雨。最低気温14度。最高気温20度。夕方になり気温が一気に下がってきた。肌寒い!
 
 昨日は『大英博物館韓国展』に出掛け、疲れ果て、夕方まで横になってしまった。にもかかわらず夕食後、抗うつ薬を口に放り込んで、夜の九時半過ぎには布団にもぐり込んでいた。

 お陰で今朝は五時半前に目が覚めた。
 シャワーを浴び、体調も良さそうだったので久しぶりに主日礼拝に行ってみることにした。
 病院の先生からは「今の特上カルビさんの心理状態では『日曜日に礼拝に行かなきゃ!』という思いが非常に強いですね。『“○○をしなきゃ”』と思うときは、そのことを絶対やってはいけません。もし無理してやると、それ自体がストレスになって体に余計な負担をかけることになりますから。『礼拝に行きたい!』と思う時まで、焦らず待ってみてください。」と言われていた。

 今朝は「礼拝に行きたい!」と思えたので、七時過ぎに家を出て、バスと地下鉄を乗り継いで教会に行く決心をした。途中、ソウル駅構内の食堂で朝食を食べる。ソウル駅からは地下鉄で教会の最寄り駅まで向かった。
 最寄り駅が近づくにつれ、何となく胸が苦しくなってきた。まだ朝早い時間だったので、車内は空いていた。私も席に座っていたのだがとにかく息苦しくて仕方が無い。これも一時的なものだろうと考えていたら、症状がどんどんひどくなってきた。とにかく胸が苦しくて、体がどうにかしてしまいそうだ。最寄り駅のホームに降り立った時には、ヘトヘトに疲れ切っていた。このまま無理して礼拝に出られたとしても、最後まで自分の体が持つか判らない。

 今までは、日曜日の朝に外出さえままならない状態だったのだ。それが今朝は問題なく外出も出来て、その上最寄り駅まで来ることができたのだ。焦ることは無い。また来週来られれば良い。ポジティヴ思考で自分を納得させ、とにかく今日は家に戻ることにした。重い体を引きずるようにして反対側のホームへ向かい、ソウル駅へ向かう列車に乗った。

 胸が苦しく、体が重い状態のままソウル駅で地下鉄を乗り換えて、とりあえず一号線の市庁駅で降りた。市庁駅からは世宗路(セジョンノ=세종로)の交差点まで歩き、バスで家まで戻るつもりでいた。

 市庁駅の四番出口から地上に出ると右手はソウル市庁舎だ。
 空一面をどんよりとした雲が覆い、今にも泣き出しそうな天気だった。まるで今の自分の心の中のようだ。

 市庁舎前広場では京郷新聞(キョンヒャンシンムン=경향신문)が主催する『韓民族歴史フェスティバル(한민족 역사 페스티벌)』というイベントが行われていた。韓国の歴史を振り返り、日・中の歴史歪曲を正すというのがその趣旨のようだった。広場を囲むようにして「独島(竹島=독도)館」、「高句麗(コグリョ=고구려)館」などのテント造りのパビリオンが並んでいた。ふと見ると、“庭石のようなモノ”が二つ並んで展示されていた。「何だろう?」と思って近づくと、それは竹島を模して作られたジオラマ(diorama)だった(写真)。テレビ画面では何度も目にしたが、それは“島”というよりは、海上にそびえ立った“岩”といったほうがふさわしい。遠目にはまさに“庭石”のようにしか見えない。

 それにしても日本人観光客も多く訪れるであろう、ソウル市庁舎前広場にこんな展示をするとは・・・。韓国側の心情も理解出来なくはないが、そのやり方があまりに“露骨過ぎて”、“品位に欠ける”という印象を受けざるを得なかった。日本の歴史教科書の“誤った部分”を韓国語に翻訳して展示もしていた。

 日曜日の午前九時前だったので人気(ひとけ)もなく、ひっそりとしていたが、それだけに何だか“見てはいけないモノ”を見てしまったような気がして、体が余計に重たく感じられた主日(日曜日)の朝だった。来週の主日礼拝には行けますように

 写真は『韓民族歴史フェスティバル(한민족 역사 페스티벌)』で展示されていた“庭石のような島”。後ろにあるのが「独島(竹島=독도)館」(“韓国領”と大きく書かれた文字が見える)。