特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

『大英博物館韓国展』に行ってはみたものの・・・

2005-05-21 13:34:09 | ソウル見て歩き
 曇り。最低気温13.6度。最高気温22.8度。

 今日は朝から肌寒い天気だった。
 朝起きて窓を開けた途端、ひんやりとした空気が体を包んだ。今日は半袖のシャツにジーンズで良いかなと思っていたが、思わず長袖のシャツに袖を通した。

 大英博物館韓国展に出掛けた。
 去る四月十二日に大英博物館(The British Museum)開館250周年、『朝鮮日報(チョソンニルボ=조선일보)』創刊85周年を記念して開幕した展覧会である。地下鉄三号線の「南部ターミナル駅」5番出口から徒歩十分。“芸術の殿堂(イェスレチョンダン=예술의 전당)”の中にある「ハンカラム美術館(한가람미술관)」で七月十日まで開催されている。
 主催者の『朝鮮日報(チョソンニルボ=조선일보)』曰く「文化財専門家達が『韓国内で開催された海外の文化財展覧会の中で質的・量的に最高だ』と口を揃える」今回の催し。人類史を網羅した世界的に貴重な遺物335点が展示されているそうだ。

 私が高い入場料(15,000ウォン=およそ1,500円)を払って、直接会場に行ったにもかかわらず、伝聞調なのには理由がある。あまりに混雑していて、肝心の展示品がほとんど見られなかったのだ。今日は土曜日なので予め混雑を予想し、十時前には会場に到着したものの既に時は遅し。中高校生の団体が数え切れないほど入場待ちをしていた。
 個人観覧の場合は入場待ちする必要は無いのだが、会場内は中高校生の団体で溢れかえり、人いきれがひどい。ただでさえ狭い会場に、335点もの展示品を陳列したので展示品の前はどこも人だかりだ。
 中高校生の団体は日本でもそうであるように、興味を持っている学生などごく僅か。多くが半ば強制的に学校行事として引率されて来た学生が多いので完全な遠足気分。友人とふざけあったり、騒いだり、展示品をバックにカメラ付き携帯で記念撮影をしたり。とにかくやりたい放題、したい放題だ

 特にこの年代の子ども達の間では、たとえ個人的には歴史や展示品に、関心や興味があったとしても「オレ(ワタシ)はこんなの全然興味がありませんよ~!”と振舞うのが“カッコいい”とされる「複雑(鬱屈した)なお年頃」なので、余計大変である。一つ一つ真剣に見ている学生はごく僅かだ。

 学芸員らしき人は各所にいるものの、僅かな学芸員が相手にできるような人数ではない。学芸員も彼・彼女らには“なす術が無い”といった状態だ。

 でも対照的に、真剣に観覧している学生は展示品の内容をしっかりメモしたりしている。将来、この展示会を見て、考古学者や歴史学者、そして文化人類学者になったという韓国の若者も出てくることだろう。

 私は会場内の観覧客の多さ(私もその一人なのだが・・・)と、館内の空調があまりに悪いので、気分が悪くなってしまった。お陰で入場してから僅か十五分も経たないうちに会場を後にした。美術館のロビーと美術館前の広場には制服姿の学生達で相変わらず溢れかえっていた。入場料を考えると一分あたり千ウォン(およそ100円)も払った計算になる。しかも展示品はろくに見られなかったのだ。何とももったいないことをした。

 「韓国の中高校生たちよ!“週末の遠足気分”も理解出来なくはないが、公共の場所での最低限のマナーは守ってくれたまえ!」そして、「ハンカラム美術館(한가람미술관)よ、お願いだ!空気清浄機を数台設置するだけではなく、展示室の空調設備自体をしっかり整備してくれぇ~

 展示会からの帰りにお昼を食べて、家に着いたら虚脱感と疲労感に一気に襲われ、夕食時間まで横になってしまった。

 今日の教訓:『大英博物館韓国展』には、出来れば平日の空いている時間に行きましょう

 そして今日、東京に実家がある私が改めて思ったことは、東京に住んでいると“この手の”展示会には事欠かないということ。改めて東京で行われている展覧会や展示会の質的・量的・設備的水準の高さを感じずにはいられなかった。
 韓国の人たちは口を開けば「世界一物価が高い」とか「暮らしづらい」と東京のことを言う。もちろんそれも事実ではあるが、東京ほど色々な意味で恵まれている都市は、世界的見ても珍しいと言えるのではないだろうか?

 写真は『大英博物館韓国展』のポスター。