ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

河合隼雄著 「父親の力 母親の力」 講談社+α新書 ②

2006-09-22 | こんな本読みました

9月21日の続きです。。。

第四章では、教育に関して今の日本ほどお金のムダ遣いをしている国はない.。お金さえあれば、だいたいのことができるが、家族・子どもは思い通りにいかないもの。

舅、姑に邪魔されない夫婦だけの生活がひとつの理想のように考えられているが、それを追求するには、それなりの訓練が必要。しかしそこがまったく欠如している。

第五章では、昔の親は忙しすぎたし、お金もなかったので、子どもを適当に放っておいた。むしろそれがうまいこといっていたが、今はお金と時間があるから、特に母親が子どもの世界に介入しようとしすぎる。思春期にふさわしい、感情の揺さぶりを一家で全く体験できていない。家族だからこそあるはずの感情のぶつかりあいがない。発散できなかったものがストレスとなって、こどもの心の中に蓄積されていく。

学校が家庭の機能まで背負いこまされているというのは、日本特有の現象。

「学校はなにをしているのか」と批判しようと思ったら、いくらでも言える。ほんとうは、そういうことを言う前に、「自分の家で、自分はどうしているのか」ということが問題なのに。

今の親が自分の子どもを満足にしつけられないのは、「民主化」を勘違いした結果なのではないか。自由にするにも、一定のルールがあるということを理解しなかった。自由主義とか個人主義とかいうが、欧米の家庭では子どもをとてもきびしくしつける。

第六章では、家族間の葛藤・失敗談から解決法まで、世界の神話に語られている。家族同士が心を通わせようとしたら、どうしても対話するしかない。家族の誰かが問題を起こしたら、この辺で家族が対話しないと危ないぞというサインと考えた方がいいのではないか。

日本中が急激に変わりつつあり、さらに変わろうとしている時期。いろいろな要素が錯綜しているはず。勝手に悪者をつくり、みんなでそれを叩くことで、安心したい。が、誰が悪いかなどと考えるより、どうしたら解決の方法があるかを一緒に考えること。

現在は、家族というシステムにとっても大きな転換期。これまでに想像もできなかったいろいろな問題がいちどきに起こってくる。それはチャンスでもあるが、そのためにも、私たちは考え方をそうとうに改造していかなければならないのではないか。

……以上、心に残った点を列挙してみました。

他にもたくさん考えさせられる視点を提示してくれています。そして、これらを「手っ取り早く解決策を探そうとする」のではなく、まず、それぞれの家庭でどうしたらいいかを考えて実行していく必要があると痛感させられました。

いやぁ、それにしても。。。課題が多すぎ(汗)