しましましっぽ

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「白雪姫には死んでもらう」   ネレ・ノイハウス 

2015年08月21日 | 読書
「白雪姫には死んでもらう」   ネレ・ノイハウス    創元推理文庫    
 SCHNEEWITTCHEN MUSS STERBEN      酒寄進一・訳

ドイツ、2008年11月。
谷間の村アルテンハイン村に、11年振りにトビアス・ザルトリウスが戻って来る。
11年前の19歳の時に、共に17歳のラウラ・ヴァーグナーとシュテファニー・シュネーベルガーを殺害した罪で服役していたのだ。
当時トビアスは、付き合っていたラウラからシュテファニーに乗り換え、そのシュテファニーに振られたので逆上して殺す。
それをラウラに見られて、殺したとされた。
二人の死体は発見されなかったが、血が付いた遺留品がトビアスの周辺で発見されたことで逮捕される。
当時は振られた事でウォッカをがぶ飲みし、その時の記憶がなく無罪を主張していた。
トビアスの父親は食堂〈金鶏亭〉を営んでいたが、事件の後、客足が遠のき休業していた。
家に戻ったトビアスは家の荒れ具合に驚き、また母親リタが出て行った事を知る。
同じ頃、アルテンハイン村近くのエッシュボルン空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見される。
それが、その被害者だと判明する。
そして、歩道橋から女性が男に突き落とされる事故があり、その被害者がリタだった。
空軍基地跡地の人骨と、リタの事件を捜査していた、ピア・キルヒホフ警部は、事件の繋がりからトビアスと会う。
そして、ピアはトビアスの事件の調書を見て、トビアスが冤罪だったのではと疑いを持つ。










かなり悲惨な物語。
子どもの頃からずっと知り合いの間柄で起こった殺人事件。
それをずっと隠ぺいしたまま、穏やかには暮らせないだろうに。
その地に留まっている人がほとんどなのが、少々不思議な気持ちもするが。
ただ、それを気に病むのは男で、女には当てはまらない所が怖い。
確かに、鍵を握るのは全員女だ。

事件の真相は、ティースがいなければ分からかっただろう。
よく考えられた物語で、登場人物も丁寧に書かれているので、ひとりひとりの生き方も考えさせられる。
遣り切れない思いが溢れてしまうが。
村の中の空気感もとてもよく感じられ、息が詰まる緊迫感も伝わる。
事件そのものの進展にも興味があるが、その雰囲気も。
そして、ピアとオリヴァ―のコンビ。
オリヴァ―の私生活での出来度にはビックリ。
私生活で仕事が手に着かない様子が人間的過ぎて、ちょっと情けない。
支えるピアも問題を抱えているのに。
しかしこれまでの物語では、それは誤解で丸く収まると言うのがほとんどだと思うが。
そのまま、破局になるのは意外だった。
落ち込みも激しければ反比例するように立ち直りも早いのかと、これまた驚かされる。

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