しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「カインの檻」 ハーブ・テャップマン  

2006年09月08日 | 読書
二部構成で、舞台はサウスカロライナ州。
一部は女性を誘拐して残虐に殺す、連続殺人が起こる。
犯人を追う捜査主任、ウィル・パクストンは捜査の過程で犯人に殺されてしまう。
ウィルを主任に推薦した、FBI主任プロファイラー(心理分析官)のジョン・キーナンは重い責任を感じる。
そして、殺人鬼は逮捕される。
二部は、死刑を目前に殺人鬼に面会に行ったキーナン。
自分の死刑を阻止する為に、脅迫してきた殺人鬼とキーナンの戦いが始まる。


心の闇は誰にでもある。
どの位の闇を作るかは、子どもの時代に決まってしまうのだろうか。
この物語は始めはおぞましく、真中は心理的に暗く深く静かに進行し、終わり頃は動きがある。
そしてラストには思わぬ罠が待っていた。
殺人鬼とキーナン、そしてもう1人、重要な人物が登場する。
バプティスト教会牧師のジョー・カメロン。
宗教のことも語られる。
しかし宗教と言うより、その人の考え方で見える世界、住む世界は大きく変わってしまう。
同じ身内を殺された人の思いが、どう考えるかによりこんなにも違うこともはっきりと示され、考えさせられる。
自分の心の闇を小さく、そして他人の闇とかかわった事でその闇に影響されないように出来るといい。
自分の身内を失い、尚且つその相手の闇まで受け取るのは悲し過ぎる。

しかし、犯罪の心理を知ろうとするが、理解出来ないことはあるだろう。
本人でさえ、分らないこともあるのだから。
理性で行動をコントロールすることは出来ても、心の中の感情はコントロールできない。それは湧き上がってくるものだから。
キーナンもそれで苦しんでいたが、行動のコントロールは出来る。それが人間なんだと思う。
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