しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「砂漠」 伊坂幸太郎

2006年02月15日 | 読書
4月、入学した仙台の大学で知り合った5人。
北村は少し離れた視線で回りを見ている岩手出身。
鳥井はスーパーサラリーマンになったら、好きな事が出来なくなるから大学時代は遊ぼうと考えている横浜出身。
南はスプーン曲げや、物を動かすなどの超能力を持つ陽だまりの様な女子。練馬から来ていたが、鳥井とは中学の同級生。
東堂は無表情の飛び切り美人で仙台出身。
西嶋は世界の事を気にかけている、演説好きで、麻雀好きで、パンクの好き。千葉から来ている。
5人は西嶋が麻雀をする為、「東南西北」の名前で集めたのがきっかけで親しくなる。
鳥井が企画した合コンが、鳥井をカモろうとするもので、その事件が発展して大変な事になる。
そのほか、周りで起こっている強盗事件や、超能力の話、キックボクシングの話、など、彼らをめぐる4年間の物語。


サン・テグジュペリ『人間の土地』からの引用がひとつの柱になっている。
始めに「ぼくは砂漠についてすでに多くを語った。ところで、これ以上砂漠を語るに先立って、あるオアシスについて語りたいと思う」の言葉がある。
物語の中にもいくつか引用がある。

オアシスは学生生活で、砂漠とは社会人になって社会での生活の事。
伊坂さんの独特な、味のある会話が健在。
北村さんのグループの会話は楽しい。鋭いけれど、深刻にもなり過ぎない。時々熱くなりながらも、冷静に物事を見ている。
そんな会話を聞いているのが、快いと言う感覚。
でも、学生の話は少々今の自分から遠いので、別の世界の様な気もする。
西嶋の様な人がいたら、面白いと思う。うん、うんとうなずきながら聞いてしまう。共感出来る。でも実行はなかなか出来ないかも知れない。それには、結構勇気がいる。

この思考は、『魔王』の流れを受けていると思う。
でも、『魔王』より、他の話題が多いから、ちょっと薄れている。
でも、学生生活がオアシスで、社会生活が砂漠とは、思わない。
そして、鳩麦さんが言う様な理由で宗教にはまるのも、ちょっと違う気がする・・・のは、社会を砂漠と思っていないからだな。

伊坂さんは、北村みたいな人なのかな、それとも西嶋。
「砂漠に雪を降らせる」話も聞きたい。

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