しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「アリス殺し」 小林泰三 

2015年08月25日 | 読書
「アリス殺し」 小林泰三   東京創元社    

大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後大学に行ってみると、キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。
次の亜理が見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死する。
夢の世界の死と現実の死は繋がっているらしい。
不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、思わぬ展開からアリスは最重要容疑者にされてしまう。
もしアリスが死刑になったら、現実世界ではどうなってしまう?
彼女と同じ夢をみているとわかった同学年の井森とともに、亜理は事件を調べ始めるが・・・・・・。
    <カバー見返しより>








ちょっと変わった世界の物語。
この様な物も面白い。
会話がメインで進むので、舞台にもなりそう。
というか、会話が多いとそのテンポや調子を実際に聞いてみたくなる。
後半は舞台にするには苦労しそうだが。
『不思議の国のアリス』の登場人物もキャラ全開の豪快さ。
アリス殺しのシーンは、かなりシュール。
アリスの世界ならではの殺人。
架空の世界だから、あまりグロテスクさは感じない。
実際想像して、考えるとかなり残酷なのだが。
蜥蜴のビルの最期もそう。
随分たくさん死んでしまう物語でもあるが、何となくゲーム感覚。
それは文章から感じるもの。

推理の部分でも、どん伝返しがあって楽しめる。

『不思議の国のアリス』の中で、女王が「首をちょん切れ」と言う時、頭に浮かんでいたのはギロチン。
ところが、このアリスの世界にはギロチンがなかった。
死刑にする時、出来るだけ苦しまないようにと言う考えはあるのだろう。
『グリーン・マイル』の事も思い出した。
ギロチンは偉大かも知れない。恐怖心は大きいと思われるが。

登場人物全てのリンクが分かる訳ではないのだが、チェシャ猫は誰だったのだろう。
始めから現実にもいたと言うのは、なんだか変。
牡蠣の子たちは、いないのかな。
赤の王様は神様?


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