しましましっぽ

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「堕天使殺人事件」  11人によるリレー執筆 

2011年04月05日 | 読書
「堕天使殺人事件」  11人によるリレー執筆    角川文庫
二階堂黎人、柴田よしき、北森鴻、 篠田真由美、村瀬継弥、歌野晶午、西澤保彦、小森健太郎、谺健二、愛川晶、芦辺拓

小樽運河でウェディング・ドレスを着た死体が発見される。
しかもバラバラにした死体を縫合針で継ぎ合わせてあった。
同じ頃、札幌の新聞社に《堕天使》からビデオ・テープが届く。
それには、女性をバラバラにする映像が。
苫小牧から紋別へ向かう人のあまり来ない街道では、止っていたバスから8人の男の死体が発見される。
その額には全員、穴が開いていた。
そのバスには、女性の乗っていたことが判明し、小樽の事件と結びついていく。

11人の作家によるリレー形式の「長編本格推理小説」800枚書き下ろし。
「事前の打ち合わせは一切行なわず、各執筆者は前回までの原稿をそのまま引き継いで書く。
謎の真相や伏線についての質問も禁止。
各作家に与えられた構想及び執筆時間は、原則2週間」





面白かった、作家さんは凄い。
ストーリー全体を見れば、解決されないまま終ってしまった謎もある。
無理やり解決したり、密室殺人の真相も、そんなのありかと思ったが。
それでも、こんな大きな怪奇事件も一応の決着が付く。
暗号文も出てくるが、あれは暗号と思って作ったのだろうか。
それを受け止めたのか、勝手に利用したのか。
どちらにしても、凄い。
この暗号が1番感心した。
11人で書いても、ちゃんとまとまるものなのだ。
完結した後、それぞれの作家さんがどう思ったのか、座談会でも開いたらもっと面白いだろう。
そして1話ずつでも、ある程度楽しめるようになっている。
それぞれの特徴なのか、雰囲気が変わるのも、面白い。
登場人物も、引き継がれる人と、1話で終ってしまう人がいる。
きっと伏線を張ったのに使われなかった、と思う作家さんもいるのではないかな。
《堕天使》と言うことで、それに付いての講釈も。
しかし、千光寺の住職は、密教に詳し過ぎ。
そこまで詳しいと、反対に崇めているのではと疑ってしまうよ。

盛りだくさんで、ちょっと賑やかな推理小説。

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