しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ヘルプ 心がつなぐストーリー」  キャスリン・ストケット

2013年08月01日 | 読書
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」  キャスリン・ストケット  上・下巻   集英社文庫
 the Help             栗原百代・訳

1962年、大学を終えて故郷に戻ったスキーターは、改めて南部の差別的風土に衝撃を受ける。
同級生はほとんど主婦になったが、家事・育児を酷い待遇で雇ったヘルプ¬¬¬=黒人メイドに任せきり。
作家志望のスキーターの頭に探していたテーマが閃いた。
ヘルプを取材し差別問題を浮彫りにするのだ。
しかし、白人と個人的に話すのさえ命がけだった時代ヘルプ達は頑なで…。
      <文庫本上巻裏カバーより>

「ヘルプを取材して本を出したいなんて、このお嬢さんはどうかしてる。白人トイレを使っただけでリンチされるのに」
しかし息子に先立たれた50代のヘルプ、エイビリーンは、親友が酷いやり方で解雇された事を契機に、その白人女性を自宅に招き、内情を語る決心をする。
最初は吐くほど緊張したが、言葉は予想外に豊かに溢れ出し…。
世界を変えた、勇気ある女達の物語。
      <文庫本下巻裏カバーより>






映画で先に見る。
ストーリーに多少違いはあるが、どちらも面白かった。
本の方がエピソードも多く、より詳しく分かる。
舞台は、ミシシッピ州ジャクソン。
同じアメリカでも、かなり人種差別の度合いが強い所。
黒人と仲良くする白人にも、危害が及ぶ社会。
しかし、生まれてからずっとそんな環境で暮らしていれば、それが普通になってしまうのだろう。
それが普通でないと気が付くのは、周りの世界を知り、理不尽なことと感じるのが必要。
そして、他の人から教えられることも。
知らないでは、済ませられないことが世の中にはある。
エイビリーンがメイ・モブリーに教える、人間はみんな同じの考えはとても素晴らしい。
そして、その子に自信を与えることも。
本が出版されて、少しずつ変わりそうな予感があるのがいい。

この舞台は1962年。この本が出版されたのは、2009年。
未だに差別は問題はある。
人間はなかなか進歩していない。
色々な争いの根本には、差別の気持ちがあるのだろう。

しかし、見下している相手に、自分の子どもの世話を任せるのは、どういう心理だろう。
子育てを重要とは見ていないということだろうか。

エイビリーンとメイ・モブリー、ミニーとシーリアの関係がよかった。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「水の柩」   道尾秀介  | トップ | 「尋問請負人」  マーク・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事