しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「殺意の迷宮」 パトリシア・ハイスミス 

2009年03月30日 | 読書
「殺意の迷宮」 パトリシア・ハイスミス    創元推理文庫
 The Two Faces of january   榊優子・訳

チェスター・マクファーランドは幾つもの偽名を持ち、偽の株券を売って儲ける40代の詐欺師。
詐欺がばれる恐れがあり身を隠すために、若い妻のコレットを伴いアメリカから冬のギリシアにやって来る。
アテネに滞在して6日目、ホテルにギリシア国家警察のパパノポロス刑事が身元確認に訪れる。
チェスターは逃げようとして、刑事を揉み合いの末殺してしまう。
それをアメリカ人の青年ライダル・キーナーに目撃される。
ライダルは街でチェスターを見かけ亡き父の面影を、そしてコレットには少年の頃に裏切られた恋人アグネスに似たものを感じ、後を付けていた。
ライダルはチェスターの逃亡を手助けし、3人はクレタ島へ向かう。
コレットはライダルに親密な態度を見せ、チェスターは苛立ちを覚える。
そして、クノッソスの迷宮で恐ろしいことが起こる。



ノワール小説。
なんとなく、コーネル・ウールリッチの黒のシリーズを思い出していた。
ウールリッチのような雰囲気はないのだが。
ウールリッチは絶世の美女が主人公になることが多く、その役がコレットと思っていた。
その雰囲気も充分あったのだが、読み進めて行くと主人公はチェスターとライダルだった。
2人の関係は、敵対しているにも係わらず、引き合ってしまうという不思議な関係。
チェスターに父親の面影を見たライダルなので、その感情が無意識に働き、チェスターの方は他に頼る人間がいなかったかためか。
お互いに殺意を感じ、実行しようとしているにもかかわらず、どこかで信頼している。
似た者同士なのかも知れない。
日本語のタイトルがなんともぴったりする物語。
頭で考えることと、心が反応することが必ずしも一致せず、気持ちが迷い混んでしまう。
段々出口がなくなる展開に、読んでいて落ち込んでいく。
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