しましましっぽ

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「複合誘拐」 大谷羊太郎

2024年04月12日 | 読書
「複合誘拐」 大谷羊太郎  光文社カッパ・ノベルズ  

東都テレビで、ニュースショーのアシスタント役の女性司会者を一般公募する。
生放送で、最終選考に残った10名が集まりアシスタントが決まる日。
その中の1人に及川興行株式会社の社長令嬢で大学生の及川理恵がいた。
本番15分前、出演者の何人かが洗面所に行くために控室を出る。
その姿を廊下で控えていた、理恵の付き添いで来た及川社長の運転手、畑山武が目撃する。
しかし、理恵はその後、控室に戻って来る事なく、姿を消す。
理恵を探す畑山は、その時やって来たフリーレポーターの田代裕二と出会う。
田代は、理恵らしき女性とすれ違った事を覚えていて、それなら大道具置き場だと一緒に探すが見つからなかった。
その頃、理恵の父、及川雄一郎の居る社長室に理恵を誘拐したと電話が入る。
身代金は500万。雄一郎はあまりの少なさに戸惑う。
そこへ、畑山から連絡が入る。
誘拐を信じた雄一郎は、犯人の指示通り現金を用意して、受け渡しに秘書の滝沢千晶を送り出す。
一方、田代は畑山の電話から誘拐を知り、理恵がテレビ局から運び出された方法を推理して、運び出した車を追う。
そして、この誘拐は思わぬ方向へと何度も動いて行く。






タイトル通り、単純な誘拐ではなく、その中で動いている人間にも知らない事が起こって展開して行く。
身代金は要求したけれど、誘拐はしていないとか。
理恵を誘拐して、ここに付くはずだと思っていた誘拐犯自身が、理恵が消えてしまって驚くとか。
一つ謎が解決しても、また次の謎が生まれて行く。
また解決しても、また謎と、いったい誰が全貌を知っているのだろう。
なかなか不思議な展開。
警察も途中から事件に介入。折原警部は味のある人物だった。
そしてこの事件に係わっているのは、全く今まで登場しなかった人物ではなく、ちゃんと早いうちに登場していた。
その中で、個々の思惑が飛び交っていたのかと思うと面白い。
盗聴と言う手が多く使われたが、それが全部上手く行くのかと思う所もあるが。
複雑な展開が上手くまとまって面白かった。
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