「光る崖」 夏樹静子 光文社 カッパ・ノベルズ
名古屋地検の少年係の検事千鳥朱子。
ある傷害致死事件を受け持つ。
送致されて来たのは18歳の奥平誠次。
奥平は道を聞くのに、ある家の庭に入り女性、北沢昌代に声を掛けるが、驚いた女性が振り向いて手に持っていた鎌を向けたので、その鎌を取ろうと手を伸ばし後ろに引いた。
その時、もう1人の人物、中尾弘吉が側にいて、鎌はその人に足の動脈を切ってしまい、死亡する。
中尾は生地会社の社長で、北沢とは仕事上の付き合いがあったと言う。
目撃情報なども調べ、奥平は過失致死と言う事になる。
実際には未成年なので、拘留される事もなかった。
しかし、朱子は何か引っかかるものを感じていた。
2つの事件が交差して、1つの事件を描き出していく。
検事の千鳥朱子が取り掛かった、傷害致死事件。
そして、それとは別に豊松久仁子と娘の祥子の話があり、やがて2つが結びつくと言う展開。
いきなり豊松久仁子が出て来た時は、どこかで登場しただろうかと戸惑う。
振り返ったら、奥平誠次と一緒にいた高校生が豊松祥子だった。
読み進めて、こういう事だったのかと半分は納得するが。
復讐を誓う犯人が、豊松家に恨みを抱くのはちょっと違う気がする。
確かに、そう考えたくなる気持ちも分かるけれど、その復讐の為になんの関係もない祥子を巻き込むとは。
自分が守りたかった人物と同じ立場を作り出しただけだった。
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