しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「フリークス」 綾辻行人  

2005年12月05日 | 読書
「とある病院の精神科病棟を舞台にした、ちょっと風変わりなミステリの連作集」と綾辻さんの紹介文。
中編3作。
「夢魔の手―313号室の患者―」
夫を殺して狂った母を見舞う、浪人生の忠。
しかし、自分が書いた覚えのない子供も頃の日記が見つかる。

「409号室の患者」
自動車事故で両足を失い、顔に大火傷をおった患者は記憶も亡くしていた。
患者は、その車の持ち主夫婦の写真を見せられる。芹沢峻、園子と言う名前から、
自分は園子だと思う。
しかし、峻が浮気をしていた事を見舞い客から聞き、相手の名前が岡戸沙奈香と知り、
自分は沙奈香かも知れないと思う様になる。
ひとつ記憶に浮かんだ事は、車のトランクに死体を入れて、山中に埋めた事。
自分はどっちで、どちらを殺したのか、殺人者であっても知りたいと願うが。

「フリークス」
564号室の患者が書いた『解決篇』のない推理小説。
容姿コンプレックスのM・Jは山中に閉じこもり、自らがフリークス(畸型者)を作り出し優越感に浸っていた。そのM・Jが5人のフリークスの誰かに殺されたと言うもの。
ミステリ作家の私は、探偵の友人の彼にその原稿を見せ、謎解きをしてもらう。


真実はひとつではない。人のよって真実はかわる。
同じ様に何が正しくて、何が間違っているかも人によって変わってくる。
自分の都合のいい様に変えて行き、それを真実と思い込んでしまう事もある。
人の精神は単純で複雑で、強くて脆い。
そんな精神を持って人は彷徨いながら、生きている。
そんな事を読んだ後に感じる。
しかし、その気持ちが他人に被害を及ぼしたらたまらない。
しかし、現実にそんな犯罪がたくさん起きている。
心の問題は、これからもっと重要になって行くだろう。

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