しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「中庭の出来事」 恩田陸

2007年08月18日 | 読書
小さな古いホテルの中庭で二人の女優が、死んだ脚本家、神谷華晴の死について話していた。
神谷は『中庭の出来事』という芝居を書いていて、その主役を3人の女優から選ぶ為のオーディションしている最中の死だった。
神谷の死は他殺と自殺と両方から捜査されるが、自殺の理由は見当たらず、他殺の方法も分からなかった。
そして、『中庭の出来事』は3人の女優によって演じられていく。


と粗筋を書いてみたが、ちょっと違う。
もっと他に挿入されている物語もあって、結構複雑。ストレートには進んでいかない。
螺旋階段を大きく降りていくような感じの物語。
繰り返し、同じものを見つつ、少しずつ変わっていく。
ちょっとまどろっこしく感じるところもあるが、この物語にはそれが重要なのだろう。
何となく気だるい雰囲気が漂う物語。
人の死が出てくるが、それはお芝居の中の感じで現実味がない。
でも、現実でも死んだことになっているのだけれど。
降りたら地面に着くかといえば、ちょっと怪しかったりして。
いくつもの物語がひとつに結び着いていく話でもあるので、始めはひとつひとつのシーンを頭に描いていくだけ。
それが繋がった時にそのシーンの重要性がわかる。
一気には読ませる面白さはあるが、後々はあまり印象が残らない物語かも知れない。
これを実際に演劇で上演したら、その方が面白いかも知れない。女優が語る台詞を聞いて見たい気がした。
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