しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「監禁面接」  ピエール・ルメートル

2019年07月19日 | 読書
「監禁面接」  ピエール・ルメートル   文藝春秋    
  CADRES NOIRS     橘明美・訳

企業の人事部長だったアラン、57歳。
リストラで職を追われ、失業4年目。
再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今はアルバイトで糊口をしのいでいた。
だが遂に朗報が届いた。
一流企業の最終試験に残ったというのだ。
だが人材派遣会社の社長じきじきに告げられた最終試験の内容は異様なものだった。
―就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ。
重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。
遂にバイトも失ったアランは試験に臨むことを決め、企業人としての経験と、人生どんづまりの仲間たちの協力も得て、就職先企業の徹底調査を開始した。
そしてその日がやってきた。
テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!

だが、ここまでで物語はまだ3分の1。
ぶっとんだアイデア、次々に発生する予想外のイベント。
「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成に読者は翻弄される。
残酷描写を封印したルメートルが知的たくらみとブラックな世界観で贈るノンストップ再就職サスペンス!
     <単行本カバー見返し側より>






自分の会社の人事を決めるのに、テロリストが襲撃して来たなどと設定する所があるのだろうか。
これが事実になった時、問題にはならないのだろうか。
そちらの方が気になる。
まあ、物語だから。
主人公のアランが、思わず暴力的になる所は好きではない。
アルバイト先の上司に、思わず頭突きをしてしまったのは、分からないでもない。
しかし、娘婿相手の暴力は理解出来ない。
それほど、リストラにあった後の精神状態は普通ではなくなると言う事か。
結局、設定もアラン・デランブルも好きになれなく、物語に入り込めない。
気になる人物は、シャルル。
なぜそこまで、アランに協力していったのだろう。
アランもシャルルには穏やかな気持ちを感じて、落ち着きを取り戻す。
そうなるまで、どんな人生をシャルルは歩んで来たのだろう。
他から見たら何も持っていないようなシャルルだが、本人は幸せそうに生活している。
本来は、それが大事な事なのだ。
アランもそれに気が付けばいいのに。

ルメートルらしくない物語。
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