しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「半身」 サラ・ウォーターズ  

2006年05月13日 | 読書
1874年、ロンドン、テムズ河畔にある、五角形の牢獄を六つ連結した形のミルバンク監獄。
そこの女囚を慰問に訪れた上流階級の婦人、マーガレット・プライアは、不思議な静けさを持つ女囚、シライナ・ドーズと出会う。
彼女は霊媒だと言う。始めて観たとき、シライナは監獄では手に入れられる筈のない、鮮やかな紫の菫を持っていた。
マーガレット自身も心に深い傷を持っていて、シライナとの出会いは心を乱すものだった。
シライナの事を知りたくなり、牢獄に入れられた事件や霊について調べていくうちに、マーガレットは強くシライナに惹かれ、シライナもマーガレットの訪れを心待ちにする様になる。
そして、ある計画をシライナは打ち明ける。

マーガレットが1874年に書き始めた日記と、シライナが1872年に書き始めた日記が物語を進めて行く。


サラ・ウォーターズ、2作目の長編。3作目が「荊の城」。
「荊の城」と同じ様な怪しい雰囲気があり面白かった。ラストの驚きも負けず劣らずといったところ。

マーガレットの慰問とともに、ミルバンク監獄の様子が克明に記され、その時代のひとつを知ることが出来る。
悲惨な監獄の様子を背景に、謎は監獄に入る事になったシライナの事件と、マーガレットの何かがあった過去と心の傷。
静かなそして妖しげな展開の中で、少しずつ謎が明らかになって行く。
シライナの実体化する霊に付いては、始めから、眉唾物として読んでいた。
そして、看守のジェルフが、小間使いのルースなのかと思った。それぞれの年齢は分からなかったのだが。
何か、カラクリがあるだろうと思っていたが、ラストは思ってもいなかった結末だった。見事に騙されてしまった。
マーガレットに結構、肩入れしていたので、ラストは悲しい。
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