しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「憤死 死ぬ外に抗議の術なし!」  清水一行

2024年04月19日 | 読書
「憤死 死ぬ外に抗議の術なし!」  清水一行  カッパ・ノベルズ光文社 

新宿にある駐車場で男の死体が発見される。
死因は頭部を強打したことによる硬膜外血腫で、事故か殺人かは判断が付かなかった。
その男は中野の区会議員大野渉と分かる。
所轄の成子坂警察署の高木刑事は駐車場の入口に1メートル半ほどの鉄パイプが落ちているのを見つけ、不審に思う。
その駐車場から見えるビルに、筑波銀行新宿支店があった。
そのビルの屋上で2か月半前に支店長の山地浩一が焼身自殺を遂げていた。
山地は不良貸付の責任を取った形だったが、遺書の中には恨む相手として、大野渉の名前が書かれていた。
2つの死に関係はあるのか。
事件を調べるのは、他殺だと考える高木刑事と筑波銀行員の青柳良輔。
青柳は山地の焼身自殺の第一発見者だった。
銀行が対面を保つために詳しい調査もせずウヤムヤにした事でサラリーマン生活に嫌気がさし、退職願いを提出していた。
しかし専務の日比野は、山地の自殺の真相を調べる様に指示する。
日比野と良輔の父親は知り合いで、それで入行した経緯があった。




上に立つ者は下に居る者を踏みつけ犠牲にしても良いと思っている。
山地が追い詰められた詳細や、責任をなすりつけられた過程など、酷いものがある。
死んだはずの山地が復讐しているような展開になり、青柳は山地は生きているように思わせることに注目する。
山地の日記が見つかり、話は事件の真相へと進んで行く。
その過程が結構面白い。
しかし、意外な人の繋がりが出て来て、偶然が重なり過ぎかと思ったが。
それも承知で書かれているので、そんなこともあるかと納得しようと思う。
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