しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「火の十字架」 森村誠一

2024年04月15日 | 読書
「火の十字架」 森村誠一  光文社 カッパ・ノベルズ  

ミッドウェー海戦で味方の戦闘機を誤射した川合。
刑事になった川合はその飛行士の消息を探していた。
飛行機のナンバーから綾瀬勝治の機だと分かっていた。
そしてその綾瀬勝治が殺されて崖から落とされた事を知る。
その時、川合は新婚夫婦強殺事件を担当していた。
アメリカから川合と同じ飛行機ナンバーを探してハーミスがやって来る。
ハーミスも戦闘機で、ミッドウェー海戦でその戦闘機に出会うが、手負いのハーミスを見逃してくれたと言う。
綾瀬の戦友が生きていると言うので、ハーミスは会いに行く。
戦友は時岡慎一で、その戦闘機に乗っていたのは綾瀬ではなく折口中尉だと言う。
川合もその話を新聞で読んで、時岡に会いに行く。
時岡の話から、川合が誤射したのは折口だと確信する。
綾瀬の行動は、ハーミスを助ける行動と一致しなかったから。





戦争から生きて帰って来た者たちの物語。
川合は思う。綾瀬はあの空、ミッドウェー海戦の時に死ぬべきだったと。
あの時、国の為に戦った者たちも、それが終わって帰って来れば良い事ばかりではない。
また苦難の道があり、何とも言えない心持ちのままである。
折口中尉が持っていた「立原道造詩集」の中の情景のように、ありたいと言う気持ちがある。
それは、死んで行った者たちへの、羨ましさもあったのかも知れない。
生きて帰ってこんなに苦労するならば、と。
しかし、生き延びる事が重要なのだ、とどこかでは感じていて、それがまた苦しいのかも知れない。
兎に角、戦争は異常な体験であると言う事。
それほど、戦争は悲惨なのだ。
戦って帰ってきたから、ご苦労様と誰もが温かく迎えてくれるものではない。
国に居た者も、苦労したのだからという思いがあるからだろうが。
良い事などひとつもない。
まだ戦争に行った人たちがたくさんいた頃の物語。
今、その戦争に向かっている。
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