しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「五番目の女」  ヘニング・マンケル 

2012年03月01日 | 読書
「五番目の女」  ヘニング・マンケル    上・下巻      創元推理文庫
  Den femte Kvinnan                  柳沢由実子・訳

父親とのローマ旅行は予想外に楽しいものになった。
その素晴らしい一週間が終わり、イースタ警察署に戻ったヴァランダーを待ち受けていたのは、花屋の家宅侵入の通報だった。
店主は旅行中で盗まれたものはない。
その次は一人暮らしの老人が失踪した疑いがあるとの訴え。
一見事件性のなさそうな二件のできごと。
だが、老人が濠の中で串刺しの死体で発見されるに至り、事態は恐るべき様相を見せはじめる・・・・。
ヴァランダーを、そしてイースタ署の面々の心胆を寒からしめた奇怪な事件。
       <文庫本上巻1頁目から>

刑事クルト・バランダ―・シリーズ第6弾。 






シリーズの6作品目になると、すっかり馴染となった感じで登場人物の動向も楽しめる。
今回は、とても事件らしい事件。
殺人現場は派手だが、手掛かりは少ない。
また地道な捜査が続き、少しずつ分かってくること。
事件とは関係のないこともあり、その話題は消えていく。
その中で気になることもあるのだが、そこで終わるのは少々残念。
内容が結構盛り沢山なので、仕方がないのか。
今回は、もう少し犯人の気持ちや過去の行動が知りたい気がした。
警察にスーパーはいないが、犯人はスーパーだ。
自警団の話も出て来るが、この思考と今回の犯人の思考は同じ方向ということを知らしめる内容。
自警団とは、日本だと夜回りをしてくれる町内会のイメージを持ちそうだが、外国ではKKKと同じ。
今回の犯人の動機は、被害者に罪があるので、何となく納得しそうな面もあるが。
それを正当化してはいけない、結局は同じだと。
人を裁くことは難しい。自分勝手な思い込みや感情に任せてはいけない。
人を殺しても、それが政治的なことで隠されるのも堪らない。
命についても、より重く受け止めようという物語。
ヴァランダーの父親の死も、死や命の受け止め方に一役かっている。


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