しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「特捜部Q―カルテ番号64―」  ユッシ・エーズラ・オールスン 

2021年02月27日 | 読書
「特捜部Q―カルテ番号64―」  ユッシ・エーズラ・オールスン  ハヤカワ・ミステリ文庫  
     JOURNAL 64                  吉田薫・訳

1985年、11月14日。
ニーデ・ローセンは夫アンドレアスと参加した医学関係のパーティで、クアト・ヴァズに声を掛けられる。
そして、過去を暴く言葉を投げつけられる。
アンドレアスに問い詰められ、過去を話したニーデをアンドレアスは突き放す。
絶望したニーデはアンドレアスの運転する車ごと海に飛び込む。
アンドレアスは死亡したがニーデは生き残る。
それから2年、50歳のニーデは膨大な遺産もあって、静かにひっそりと暮らしていた。
しかし、偶然、クアト・ヴァズを見掛けた事でニーデの感情に変化が起きる。
自分の人生を無にした卑劣漢が自由に外を歩き回っている。
そして、今までに自分の人生を破壊して来た者たちに思いを馳せる。
ニーデは最良の形で復讐を遂げる方法と復讐する相手をリストアップしていく。
クアト・ヴァズ、リタ・ニルスン、ギデ・チャールズ、テーイ・ヘアマンスン、ヴィゴ・モーウンスン、フィリップ・ナアヴィー。
ひとつひとつの名前がニーデの人生の節目を表していた。
2010年11月。
特捜部Qは、ローセが興味を示した失踪事件を再調査することになる。
それは、1987年9月4日にエスコート・サービスの経営者、リタ・ニルスンが変わった様子もなく自宅を出て、忽然と姿を消していた。








1987年のニーデと2010年の現代の特捜部Qの物語が語られて行く。
ニーデの中には、過去の出来事が織り込まれ、復讐する相手が何をしたかが分かって行く。
ラストにそれぞれの物語が合わさり、全貌が明らかになる。
それだけでも、パズルが合うような面白さがあるのに、他にも色々と事件がある。
相変わらず盛沢山な内容。
しかし、それが上手く進行していて、邪魔なものはひとつもなく面白い。
最後は、どっちなのだろうと言う、胸騒ぎがあったが、悲しい方だった。
途中の経過を見ていても、ニーデは復讐には向いていない弱さがあった。
いけない事なのに、応援しながら読んでいた。
そして、最後は危ない目に合うマークとアサドは今回も同じ。
それ以上の危なさで、後遺症は大丈夫なのかと心配になる。

その中で、クワト・ヴァズが抱く理想が優生学。
そんな思想の政党を起ち上げようと言う、おぞましさも炸裂する濃い物語。
優生学と言うとナチスを連想するが、これは日本もそうだが各国であった事なのだ。

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