しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「蛇行する川のほとり」 恩田陸 

2007年09月06日 | 読書
高等部1年の蓮見毬子は美術部の先輩、九瀬香澄と斎藤芳野から夏休みに合宿して演劇祭の舞台背景を描くことの誘いを受ける。
合宿するのは、香澄が高校入学と同時に越してきた「船着場のある家」で、そこはある不幸な出来事のため、長い間空っぽの家だった。
毬子もこの「船着場のある家」は子どもの頃の記憶が詰め込まれた特別な場所だった。
毬子が憧れの先輩からの誘いを友人の真魚子(まおこ)に伝えると、真魚子は何か企みがあると、不安なことを言う。
そして、香澄のいとこの貴島月彦からも、香澄に近づくなと脅迫めいたことを言われる。
気にしながらも、合宿を始めた毬子。
2日目には、手伝いと称して月彦と友人の志摩暁臣という中性的な少年も加わり、何か得体の知れない不安を感じ始める。



これも少年少女の物語だが、少女というには先輩の香澄と芳野が、それらしくないので、雰囲気は違う。
長く生きてきた人のように「少女とは」と心で語るので、年齢を超越した物語のようだ。
昔起きた2つの事件が背景にあり、その謎解きの要素もあるので、ちょっとサスペンスっぽい。どんでん返しもあるし。
違うアプローチで書いたら、推理物になりそうだが、これはどちらかというと幻想的な雰囲気の感じで、
事件よりも気持ちを重視している心理劇的な感じがする。

結局、真相は誰にも分からないもの、人間の心は誰にも分からないもの、という結論が付く物語だと思う。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イチロー7年連続200安打 | トップ | 「6シックス ステイン」 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事