しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「あるキング」 伊坂幸太郎

2009年12月12日 | 読書
「あるキング」 伊坂幸太郎     徳間書店

仙醍市のプロ野球球団、仙醍キングスは万年最下位の弱小球団。
その年のペナントレース最終戦、東卿ジャイアンツとの試合で、監督の南雲慎平太は事故により命を落とす。
同じ時、熱烈な仙醍キングスファンの山田亮と桐子夫婦に男の子が誕生する。
王求(おうく)と名付けられたその子は、3歳の時におもちゃのバットを見事なフォームで振る。
10歳、すでに王求の生活は野球の練習が中心になっていた。
12歳、野球を教えに来たプロのピッチャーの、本気の投球をホームランにする。
15歳、そんな王求の野球人生に転機が訪れる。



淡々として語り口で進んでいくが、結構どぎつい物語。
“マクベス”や“シーザー”の要素が加わり、3人の魔女も登場。
ダークな童話のような雰囲気がある。
野球の王だと周りの人は王求を見るが、その周りの人たちが翻弄していく。
王の周りには失脚を願う刺客がいっぱい、味方は非力だから、守りきれない。
王求自身が、あまり感情を表さず、なんでもあるがままを受け入れている。
静の王求と動の周りとのギャップに少々違和感がある。
そして思った。王求は野球が好きだったのだろうか。
王としての勤めを果していただけだったのだろうか。

この物語は、何を伝えたかったのだろうか。
王求が哀れに思える。
ただ、誰かに繋いで行くだけの人生だったのか。
読後は虚しさが残る。

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