しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「雷鳴の記憶」 ダイナ・マコール 

2008年05月10日 | 読書
「雷鳴の記憶」 ダイナ・マコール     ハーレクイン MIRA文庫
  Storm Warning   皆川孝子・訳

今まで普通に生活をしていた20代後半の女性5人が、1ヶ月の間に突然発作のように自殺してしまう。
それはアメリカの離れた州で起こったので、不審に思われることはなかった。
修道女のシスター・メアリ・テレサ(ジョージア)は長期休暇から戻り、溜まった手紙を読み、子どもの頃の友人が5人、この1ヶ月の間にそれぞれ自殺していることを知って愕然とする。
それは、1年の時に英才児クラス7名のうちの5人だった。
そして、5人とも自殺する直前に電話をしていた事を知る。
ジョージアは英才児クラスのもう一人の友人、ヴァージニア(ジニー)・シャロピと、兄の友人でFBI捜査官のサリヴァン(サリー)・ディーンにこの事実を新聞記事のコピーなどと共に知らせる手紙を送る。
サリーとジニーがそれぞれ手紙を受け取り、ジョージアに連絡した時、ジョージアは死んでいた。
自ら濁流に飛び込むという、カトリックでは許されない自殺であることに修道院でも戸惑っていた。
セントルイスで新聞記者をしていたジニーは、身の危険を察知して逃避行を開始した。
サリーは7人のうちたった一人残されたジニーを守る為に、ジニーを探し始める。



始めから、掛かって来た電話からは“遠くでなる雷の音と、玄関の呼び鈴のようなチャイムの音”が聞こえたとあるので、催眠術が関係していることは分かる。
5人の死の状況がリアルに伝えられるので、ジョージアやジニーが感じる緊迫感や不安を同じように感じられる。
テンポよく進んでいくと、エミール・カーノフ医師とその家族のことが現れるので、その関係も想像出来る。
どうやって係わりが明らかになって行くか、という所で中休み。
ジニーとサリーの恋物語が入る。
いや、中休みではなくもうひとつのメインストーリーなのかも知れないが、ロマンスはやはり苦手というか面白さを感じられないので、もう少し早く進めてもいい、という感じ。
そして、ラストはちょっと一捻りあるのだが、肝心な点が抜けていて不満。
催眠療法で、“遠くでなる雷の音と、玄関の呼び鈴のようなチャイムの音”がなぜキーワードになったのか。
どんな暗示が掛けられていたのか、ジニーの影響力と他の人との違いなどが、説明不足だと思う。
そして、もっとカーノフの家族のことも知りたかった。
起承転結の起承はよかったが、転が違う方向で、結はちょっと物足りなく感じてしまう物語だった。

催眠術を使った殺人といえば、「魔術はささやく」を思い出す。
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