しましましっぽ

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「邪魅の雫」   京極夏彦 

2012年03月13日 | 読書
「邪魅の雫」   京極夏彦        講談社ノベルス

昭和28年夏。
薔薇十字探偵社に榎木津の従兄、今出川欣一が訪れる。
応対した探偵助手、益田龍一にある依頼をする。
それは、榎木津に持ちかけた縁談の相手が、次々と断ってくると言う。
始めは乗り気だったが断ることに、何か陰謀があると疑っていると。
その一人、来宮家は相手の、女学生の妹が大磯で事故か自殺か分からず、死亡していた。
同じ頃、平塚では真壁恵という女性が自宅のアパートで死んでいるのが発見される。
しかし、身元は虚偽で、本名は分からなかった。
また、江戸川ではうつ伏せになり死んでいた商社社員、澤井健一が発見されていた。
警察はこの3つの遺体からシアン化カリウムが検出されたことから、青酸カリの中毒死と判断。
連続毒殺事件として捜査を開始する。





今回は登場人物が多い。
似たような境遇の人もいて、誰のことか、途中で混乱しそうにもなる。
ドミノ倒しのように、関係した人たちがたくさん死んでいく。
それぞれの思考に、「殺す」や「死ぬこと」に関したことがよく出て来る。
周りや自分の世界にしっくりとしていない人が多く、何となく悶々とさせられる。
『数えずの井戸』の登場人物もそうだったが、その感覚が自分には異質に感じるので、少々現実感がなくなる。
元刑事の大鷹などは、どうして今まで普通に居られたのか、不思議に思うほど。
あれでは、日々の生活に支障がでるだろうに。
そんな現実感のない中、榎木津のお見合い話が関係しているという俗っぽさ。
それが始めに来たエピソードだったのだ。
なので、今までになくメインキャストの身近かな事件の様相。
今回も関口はそれなりの活躍を。
当事者とも言える、榎木津は少々大人し目だが、シリアスな面が見られる。
そして、すべての源と言える、中禅寺が戦時中の所属した、陸軍・第十二科学研究所もまた姿を現す。

誰がどうなって、どうしたと、謎解きパズルのような物語。

澤井という登場人物が、途中で澤田になりまた戻るのは、誤りだと思うが、変な気分。
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