しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「永遠の〇」    百田尚樹 

2012年03月17日 | 読書
「永遠の〇」    百田尚樹    太田出版

佐伯健太郎は26歳で、司法試験浪人中。
姉の慶子は4歳年上で、フリーライター。
その姉から、戦死した祖父のことを調べるのを手伝ってくれと言われる。
祖父、宮部久蔵は終戦直前に特攻隊で死んでいた。
そのことは、6年前の祖母、松乃が亡くなってから知ったことだった。
2人の結婚生活は短く、松乃が再婚だったことも知らなかった。
健太郎は、戦友会などから祖父を知っている人を訪ね、話を聞いて行く。
健太郎と慶子にとって、戦争の話は衝撃的なものだった。






祖父の人物像、生き方を探るというドラマ性を持たせながら、戦争について、生きるということについて真正面から考えさせられる。
日本がした戦争がどのようなものだったのか、それがよく分かる。
戦争を全く知らない子どもでも、この物語はよく分かると思う。
たくさんの人に読んで欲しい本だ。
一人の人間の評価も、見る人によって違うということも分かる。
しかし、特攻がテロリストと同じという考えがあることは知らなかった。
どうして同じと考えられるのか、分からない。
桜花という特攻のことも、あまり知らなかった。
そして、特攻は日本だけとう書き方だが、この発想は必ずしも日本とは限らないようだ。
他の国にもあったと他の本で読んだことがある。
兵士は消耗品と言う考え方は他の国にもあった。
差別待遇も。

生きたいと強く思っていた久蔵が、最後に生きるチャンスを手放した。
きっと戦争はまもなく終わるか、もうすぐ飛行機で飛べなくなることを察し、自分だけ生き延びることが出来なかったのではないだろうか。
送り出す立場では終われない、それほど生きることに執着しつつ、それを自分に許せない追い込まれ方をしたのだと思う。
最後は、まさに作り物の展開だったが、それがこの物語のラストには似合っている気がした。
と言うか、これは物語と言うよりは、戦争のことを知らせる教科書の様なもの。
最後まで興味を持って読めるように、物語の形を取っているのだと思う。
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