金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

失業保険申請数減などで米国株最高値更新

2018年09月21日 | 投資

昨日(9月20日)米国株は今年1月につけた高値を更新した。

ダウは255ポイント上昇し、26,661ポイント。ダウは年初来7.8%の上昇。S&P500も年初来10%近く上昇し、ゴールドマンサックス等が年初に予想していた高値圏に近づいた。

株価を押し上げた要因は、この日発表された新規失業保険申請数が前月比3千人減少して201千人に留まったことだった。これは1969年12月以降で最低の水準だった。

米中間の貿易摩擦に対する警戒心も後退している。

JPモルガン・チェースのダイモンCEOがCNBCテレビで「米中間の貿易摩擦は、貿易戦争というよりは貿易小競り合いskirmishだ」と発言したことも警戒心の緩和にプラスに働いているかもしれない。

気の早い投資家の中には株価は年初にアナリストたちが予想したレンジを超えた領域に入ったと考え始めている。

 

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米中関税競争、落とし所の可能性を見て米株上昇

2018年09月19日 | ライフプランニングファイル

昨日(9月18日)の米国株は反発した。ダウは184ポイント0.7%上昇。最大の要因は、米中の関税競争に落とし所があると楽観的な見方が投資家の間に広がったことにある。少なくとも米国が追加関税率を当面10%に抑えたことや中国の報復関税も10%にとどまったことから、最悪のシナリオは避けたと判断したことは間違いない。

米国の中間選挙を前に米国側が関税競争に決着をつけようとする可能性は高い。

ただし株式市場についていえば、米中間税競争以外の不安材料がない訳ではない。一つは昨今の株高を支えてきた企業の自社株買いが、四半期決算発表期を前にして中断することが見込まれるからだ。

ゴールドマンサックスによるとS&P500の8割以上の会社は、10月5日までに自社株買いを一時的に中止するということだ。

株式購入資金の流入がストップすると需給から株価に圧力がかかる。米中関税競争以外にも相場には波乱要因が潜んでいる。

今月下旬のFOMCで連銀が政策金利を引き上げることはほぼ確実視されているが、問題は今後の金利政策だ。連銀が予想以上にタカ派的な姿勢を示すと株式相場にはマイナスである。

 

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ロジ屋の寿命は長い

2018年09月17日 | 資格・転職・就職

「ロジ屋」という言葉はまったく一般的ではありません。ロジスティクスの専門家という意味で私が作った言葉だからです。ロジスティクスLogisticsというのは、元々軍事学の中の兵站学を指す言葉で「輸送・宿営・食料」などの調達・運用を研究する分野です。ひらがなでロジスティクスと書く場合は「物流」の意味で使われることが多いのですが、本来はもっと広い守備範囲を持っている言葉です。

私が「ロジ屋」という場合は、営業部門や生産部門に対する間接部門という意味で使っています。

このエントリーでは、「シニア層の働き方の一つとして間接部門での活用を活かせ」ということを述べたいと思っています。

敬老の日を迎えて新聞等では高齢者の働き方に関する記事が増えています。今日(9月17日)の日経新聞朝刊によると「70歳以上の人が総人口の2割を超え、65歳以上で働いている人は男性で31.8%、女性で16.3%に達し、いずれも6年連続で上昇している」ということです。

記事は「政府は継続雇用年齢の引き上げや年金制度の見直しなどで高齢者の就労を後押しする」と続いています。

政府が高齢者の就労を後押しすることは歓迎ですが、その目玉の施策が継続雇用年齢の引き上げというところに私は発送の貧弱さを感じます。

長年働いてきた職場で同じような仕事をするのは、働く方も雇用する方も楽な面はありますが、マイナス面も大きいと思います。むしろシシニア層が全く違う会社で今までの経験を活かして働く道を積極的に後押しするような施策を打ち出す方が色々な面でプラスが大きいと私は考えます。

その具体的な分野の一つがロジ屋の部門なのです。多くの日本の会社は間接部門ではその会社独自の制度を育んできました。人事制度、社内稟議制度、経費精算システムなどなどです。

しかしデジタル化やクラウドサーバーの利用によるペーパーレス化の時代はそれらの流れを大きく変える可能性があります。

従来は自社の制度に合うようにシステム開発を行っていたのですが、現在ではクラウド版のパッケージを利用することが一般的になりつつあります。パッケージをカスタマイズすることは可能ですが、コストがかかる上に不具合を起こすリスクが高い。そこでパッケージに自社の制度を合わせようとする会社も増えつつあるようです。つまり体に服を合わせるのではなく、服に体を合わせるのです。

実際多くの会社で独自色を出している社内制度というものは、それほど意味がない場合が多いと思います。むしろ単にタコツボ化していることの方が多いでしょう。差別化に意味がないのであれば、コモディティ(汎用品)化しているシステム(コンピュータシステムだけではなく、経費精算の方法などを含めて)を使う方が早くて安上がりなのです。

さてそこでロジ屋の登場です。間接部門が遅れていると思っている会社は、積極的に間接部門で先進的な改革を経験したロジ屋を採用すれば良いのです。

間接部門は業種横断的に共通の業務が多いので、比較的異業種でも働きやすいのではないでしょうか?(もちろん業種ごとに会計上の特性が異なり簡単に行かない場合もありますが)

ロジ屋を活用して間接部門を改革することで会社の基盤を強化することがIT革命の時代に必要なことでしょう。

ただし日本では伝統的に兵站部門が戦闘部門より軽視される傾向があります。歴史的にみれば豊臣政権を支えた石田三成などはロジスティクスのプロでしたが、関ヶ原の一戦で負けたことにより、ロジ屋としての評価も一般的にはあまり高くないかもしれません。

もっと近いところでは、昭和の戦争で大きな犠牲を出した原因は、そもそも戦争をしたという根本的な政策判断を別にすれば、ロジスティクス上の誤りにあります。歴史に学ぶところがあるとすれば、ロジスティクスの軽視に対する反省でしょうね。

話が大袈裟になりましたが、間接部門で知見のあるシニア層を別の企業で活躍できるような制度を作ることが、高齢者の雇用と企業の発展を結びつける一つの方法なのです。

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脳は老化しない。体力の老化が集中力を散漫にする?

2018年09月16日 | うんちく・小ネタ

「脳には妙なクセがある」(池谷 裕二著 新潮文庫)の中に、著者が「歳をとって集中力が散漫になるのは、体力衰弱のせいである」と考えているという話が出ています。

脳科学者の筆者は、「歳をとると長時間の読書ができなくなる人がいます。多くの方はこれを『脳の老化』と考えているようです。・・しかし日頃から脳機能を専門に観察している私には、脳自体はそれほど老化しないようにみえます。先に衰えるのは、むしろ『体』ではないでしょうか」と述べています。体力がなくなるから集中して本をよむことができなくなるから脳が衰えていくという意見です。

世の中には「すべての疲労は脳が原因」という本などもでていますから、池谷さんの考えが広く受け入れられているものなのかどうかはわかりません。

脳の労力ということについていうと、私達が持っている脳の情報処理システムのうち、システムⅠよりシステムⅡを使う方が労力がいると言われています。システムⅠとは「直感的、連想的な情報処理」であり、システムⅡとは「分析的、規則支配的な情報処理」です。たとえば格言や諺あるいはブランドに頼った判断などはシステムⅠによる情報処理で、「固定観念を捨てて考える」というのは、システムⅡを使った情報処理ということができます。

以下は私の考えですが、システムⅡによる情報処理は労力を要しますから、歳をとり体力が衰えてくると、脳はシステムⅡを使わずにシステムⅠを使うようになるのではないでしょうか?

シニアの人が「自分の経験では」とか「常識的には」と枕詞をかぶせる時は大体システムⅠよる判断と考えて良いでしょう。

しかし色々な方面で技術革新の速度が早い現在は、システムⅠによる情報処理だけでは判断を謝ることがあります。

やはり労力を要しても、システムⅡを使う必要があるのです。そのためには体力がいります。という様に考えてみると、脳が老化するかどうかは別として、老化していない(つまりシステムⅡを使う)と思われるような頭の使い方には体力がいるものだと私は考えています。

そしてシステムⅡを使い続けるためには、新しいことへの挑戦が必要だと考えています。新しいことへの挑戦には体力(気力もいりますが)が必要ですから、体力を維持することが脳の老化の予防につながるのでhないでしょうか?

 

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ペーパーレス会議に取り組む

2018年09月14日 | デジタル・インターネット

私の顧問先は年内にオフィスを移転して、それを機会に社内無線LANを大幅に導入する予定だ。

そしてそれを足がかりにして、digital transformationを進めようとしている。Digital transformationをここでは「IT技術を活用した業務の効率化」とザックと定義しておこう。

無線LAN環境との関係でいえば、役員会等社内会議のペーパーレス化を上げることができる。

ペーパーレス化というと、決裁書の電子回覧や経費支払における領収書の電子的保存なども上げることができるが、私はペーパーレス会議が費用(コスト・導入時間)対効果の面で導入効果が一番高いのではないか?と感じている。

領収書の電子的保存については、電子帳簿保存法という法律が求める要件を満たす必要があり、導入に時間がかかる。決裁書の電子回覧には法律的な要件はないが、案件によっては起案部署と社長・役員が膝を突き合わせて議論をした方が良いものもあるので、総て電子回覧をするのが良いのかどうか若干懸念を持っている(ただし顧問先では導入予定)。

これら2つに較べると社内会議のペーパーレス化は、導入が簡単で効果を簡単に予測することができる。

顧問先のペーパーレス化では、クラウド上でサービスを提供する会社と利用者分のアカウント契約を結び、利用者がクラウドサーバーに保存された資料をタブレット端末やタブレットPC(Surfaceなど)から閲覧する仕組みを採用している。オンプレミスだとサーバー購入の手間と時間がかかるが、クラウド版であれば、すぐ利用することができる。極論をすると1,2日で運用可能といって良いだろう。

紙ベースで会議資料を配る場合は、印刷・とじ込みの時間がかかるが、ペーパーレスの場合はPDF化された資料を簡単な操作でクラウドサーバーにアップするだけなので、資料ができた後の手間と時間はほとんどない。

また資料はデスクトップPCなどから閲覧できるので、自分のデスクや自宅のPCから簡単に読むことができる。社外役員なども事前に資料を読むことが可能になる訳だ。

印刷・とじ込みあるいは資料の差し替えにかかる手間と時間がほとんどないので、人件費と物件費(紙代・印刷代)の節約につながる。

また会議の席でも発表者が、タブレット等から資料にアンダーラインを引いたり、矢印を挿入することができるので、話がわかりやすくなる。

一方ディメリットがない訳でもないと思っている。最大のディメリットは、資料のデジタル的閲覧になれていない人にとっては、紙で読んだ方が頭に入りやすいということだろう。

私も時々キンドル本を読んでいるが、内容が頭に残るという点では紙の本の方が上だ、と思うことは多い。

これは慣れの問題なのか?あるいは本質的に人間の脳は紙と親和性が高いのか?

その辺りのことは専門家でないので私には分からないが・・・

ただ私の顧問先のように古い会社でも、会議のペーパーレス化に取り組みだしたので、社会全体ではペーパーレス化はどんどん進んでいるのだろうと感じている。

ペーパーレス化が目指すところは経費削減だけではないはずだ。ペーパーレス化の本当の目的は情報を効率的に共有して、知的コラボレーションの中から新しい価値を生み出していくことにある。

20数年前に会社でパソコンを導入し始めた頃「パソコンを使えない社員は淘汰されるのではないか?」という懸念が囁かれたことがあった。だが実際にはそのようなことは起こらなかった(私が見聞きする範囲では)。

むしろ淘汰されたのはパソコンでもできる仕事しかできない社員であった。

この経験から考えるとペーパーレス会議が普及した場合、淘汰されるのはペーパーレスの資料の読み込みに苦労する社員ではなく、資料の裏まで読めない社員なのであろう。

資料の裏まで読む眼力を「眼光紙背を徹す」というが、ペーパーレス社会が到来するとこの格言も死語になるだろう、やがて。

ただしその言わんとするところは死ぬことはないと思う。

 

 

 

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