今日(8月20日)の日経新聞朝刊トップは「ファストリ、週休3日に」だった。ユニクロを傘下に持つファーストリテイリングは、週に4日働いて3日休む制度を約1万人の正社員を対象に10月から導入する。
これは「変形労働時間制」という制度で週40時間以内であれば1日10時間働いても残業代を支給しない制度だ(労働基準法では1日8時間を超える労働時間に対して残業代が支給される)。
トータルの1週間当たりの勤務時間は同じだから「朝三暮四」のようにも見えるが、私はそうではないと思う。
なぜなら自分の自由時間は細切れであるよりまとまっている方が有効に活用できると考えるからだ。
書誌学者で作家の林望職業従事氏は10年前に出版された「帰宅の時代」という本の中で「休暇は、本来自分のために使うもの。何をするにしろ、自己実現に役立てようと思ったら、ある程度まとまった日数が確保されることが望ましい」と書いている。
林望氏のそもそもの主張は「国民の祝日・休日をカレンダーの上からきれいさっぱりなくし、誰でもが持っているはずの有給休暇を自由に取れるようにすることが先決」なので、ファストリの「変形労働時間制」をどう評価されるかはしらない。
しかし現実問題として、「帰宅の時代」が書かれた頃より、国民の祝日・休日は更に増えているし、有給休暇の取得は企業に年5日分の取得を義務付けないと進まない状況だ。
ついでにいうと5日の有給休暇取得を義務付ける法案は「有給休暇の消化を企業に義務付ける」と説明されているが、消化という言葉を使うこと自体が、国や企業の意識が低いということができる。
本来有給休暇は「リフレッシュメント」「家族とのコミュニケーション」「自己研さん」「趣味」などのために、積極的に取得するものであり、消化するものではないはずだ。
という具合に日本の有給休暇制度は大いに問題はあるのだが、現実にできることの一つとして「週4日働いて3日休むことを選択」でいる制度が導入されることは良いことだと思う。
1日2時間多く働くことになるが、その2時間をまとめて1日の休みに変えることの意味は大きい。
夜の2時間ではできないことが1日にまとめるとできるようになるからだ。
ただしでる。週3休制になって有給休暇の取得が減少するようでは、制度は働く人にとってトータルではマイナスだ。
制度導入に対する評価は、正しく運用されるかどうかを見極めてから、ということになるのだろう。