米国の大手調査機関Pew Reseachが5月末に欧州諸国の政治・経済に関する世論調査を発表していた。
【国の方向感】
調査対象の欧州各国の内、ドイツ以外の国は方向感に対する満足度は半分以下だ。ドイツでは53%の国民が満足しているが、満足度合いは2番手のポーランドで33%、3番手のイギリスで30%、次のフランスが29%という状況だ。金融危機に悩む南欧諸国は押しなべて低くイタリア11%、スペイン10%である。最低のギリシャでは国の方向感に満足している人はたった2%で98%の人が不満を抱いている。
【経済状態】
一人勝ちの状態のドイツを除いて、総ての国で「悪い」という人が「良い」という人を上回っている。ドイツでは73%の人が良いと言っている。良いという人はフランスで19%、イギリスで15%、南欧諸国は押しなべて一桁。イタリアとスペインでは6%の人が良いと言い、ギリシャではたった2%の人だけが良いと言っている。
過去10年のトレンドで見ると02年にはイギリスが65%でトップでフランスは45%だった。ドイツでは27%の人が経済状態は良いと言っていたに過ぎなかった。
【経済問題の根源はどこにある?】
多くの国は経済問題の責任は政府にあると考えているが、その次に銀行等の金融機関と欧州連合(EU)にあると考えている。例えばギリシャでは87%の人は責任は政府に、39%の人が銀行に、19%の人がEUに、そして42%の人が自分達にあると考えている(複数回答のため合計は100%を超える)。
イギリス、スペイン、フランスでは銀行に責任があると判断する人が政府に責任があると判断している人を上回っている。イギリス(政府に責任67%、銀行に責任69%)、スペイン(59%、78%)、フランス(59%、74%)
【向こう1年間の見通し】
向こう1年間で経済状態が改善すると予想する人は押しなべて低い。イギリスでは「良くなる」と判断する人と「悪くなる」と判断する人の割合はそれぞれ32%で同じだ。ドイツでは「良くなる」と判断する人は29%で「悪くなる」と判断する人27%を若干上回っている。スペインでは25%の人が「良くなる」と判断(「悪くなる」は47%)、フランスでは「良くなる」が22%で悪くなるは40%だ。ギリシャでは「悪くなる」が81%で「良くなる」と予想する人は81%に過ぎない。
参考までにいうと米国では現在の経済状態が良いという人は31%に過ぎないが、1年後に改善すると予想する人は52%で欧州諸国を大きく上回っている。これはアメリカ人の楽天的気質によるものだろうか?あるいは米国がリーマンショックの後遺症を克服しつつあるということだろうか?
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世論調査はほとんどドイツの一人勝ち状態を示している。10年前はユーロのお荷物と言われたドイツだが構造改革を経て一人勝ちになっている。もっとも構造改革だけが一人勝ちの理由ではあるまいが。いずれにしても向こう1年いやもう少し先まで暗いのが欧州だ。