時々日経新聞のマネー研究所からニュースレターが入る。今日はテーマは「趣味とバカンス」でお金のかかる趣味を2つ(以上)持つのは家計を圧迫する、家計が圧迫されると定年後も見据えると一生付き合える趣味ではなくなるから、お金のかかる趣味は一つにしてお金のかからない趣味と組み合わせて楽しみなさいというものだった。
記事によるとお金のかかる趣味は「スポーツ」「旅行」「車」「グルメ」「カメラ」などで、お金のかからない趣味は「読書」「カラオケ」「料理」「ガーデニング」などだ。
確かに美味しいものを食べるにしても、自分で作るのとレストランに行くのではお金のかかり方は違う。趣味やレジャーというものは、人生に楽しみを与えるものだから、趣味に溺れすぎて人生が狂うようだと本末転倒というのが、ライフプランナーの方達が示す一般的な処方箋であることは間違いない。
だが趣味の中には、お金のかかる趣味が必然的に2つ(以上)重なる場合がある。例えば「登山」や「旅行」と「カメラ」という組み合わせだ。総ての登山者や旅行客がお金のかかる一眼(レフ)カメラを持っている訳ではない。むしろ最近ではスマートフォンのカメラ機能が飛躍的に良くなっているので、もっぱらスマートフォンをカメラに使っている人も多い。
しかしながらデジタル一眼愛好者としては、やはり素晴らしい景色をあの手この手を加えて、より素晴らしく再現したいと思うものである。素晴らしい景色やシャッターチャンスは街中にもあるが、やはり山や海など遠方に出かけると素晴らしい景色に会う可能性は高くなる。
という具合にある種のお金のかかる趣味は必然的に他のお金のかかる趣味と結びつくというのが私の意見だ。
ではそのような趣味は止めるべきなのか?
それはその人の価値観と懐具合によって決まるというしかない。
趣味や遊びというと人生のサイドディッシュのようなものだ、という人がいるが、私は必ずしもそうは思わない。
「仕事は楽しく遊びは真剣に」という言葉を社是としている会社がある。その会社の社長さんは私のスキーの師匠なので、時々私はこの言葉を引用させて貰っているが、趣味も一流と言われるほど極めることで、何かが見えてくるのではないだろうか?
そして真剣に遊ぶ人が仕事に新しい価値をもたらす可能性は高いのではないだろうか?と私は考えている。
長い人生を破綻なく過ごすには、生活費のコントロールを含めてマネープランが重要であることは間違いない。しかしお金はより良い人生を送るための手段であり、目的ではない。
趣味に対して私の意見は「一流」と呼ばれる域に達するような趣味を持つべきだ、ということだ。「一流」というのは、何とかコンクールで受賞するといったことではないが、少なくとも仲間から頼りにされるレベルだろうと思う。そのような域に達するには、何事であれ、お金と時間はかかるものだ。
そういった意味ではマネー研究所が「お金のかかる趣味は1つにしなさい」というアドバイスには傾聴するべきところがある。
人生にとってお金と時間は限りがあるので、二兎を追う余裕はないからだ。
ただ実際に私の友人や知り合いを見ていると、結構マルチに多少お金のかかる趣味を楽しんでいる人がいることに気が付く。
これは仕事の世界で「何をやってもそつなくこなす」人がいるのとどこか共通するところがありそうだ。実は「そつなくこなす」人は個々の仕事に精通しているというよりは、如何にしてその仕事の肝を抑えるか?というある種のメタ学習法に通じているのである。
同じように複数の趣味を楽しむことができる人は「遊びを習得する」学習法に通じているのではないか?と私は考えている。
結局のところ「お金のかかる趣味を二つもつのはNG」というのはごく一般論で、キャパシティがあれば、お好きにどうぞということになる。ただ趣味はサイドディッシュに過ぎないから程々に、という視点は私には味気ないものに見えるのである。
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