日本でもガソリン価格の上昇は大きな話題になっていますが、アメリカでも大きな話題です。
WSJにRising Gasoline Prices hit inflation-weary Americansという記事が出ていました。今後のアメリカのインフレ動向を予想する上で、またガソリン価格の動向を予想する上で参考になるところがあるかもしれません。
記事は最近のガソリン価格の上昇は「歓迎できない昨年の夏の記録的なガソリン価格の上昇をデジャブとして思い出させる」と書き出します。
現在のガソリン価格は1ガロン3.82ドルと書いてありますから、日本円に換算すると148円/Lになります(1ガロン=3.78L 1ドル=146円として)。
昨年ロシアがウクライナに侵攻した時、原油価格は1バレル120ドルに達し、ガソリン価格は5ドル/ガロンを超えてきたため、バイデン政権は緊急用備蓄ガソリンを放出してガソリン価格の抑制を図りました。
その後原油価格は下落しましたが、サウジアラビアやロシアの減産効果で現在の原油価格は1バレル80ドル近辺です。
ガソリン価格を押し上げている要因は他にもあります。一つは米国の製油所が、コロナ騒動期間中メンテナンスを延期していましたが、今そのメンテナンスに取り掛かっているため、ガソリン生産能力が低下していることです。
また猛烈な暑さのため、一部の製油所で操業停止が起きていることもガソリン価格の上昇を招いていると分析されています。
さてガソリン価格の上昇は景気や物価動向にどのような影響を与えるのでしょうか?
ダラス連銀の経済政策上級アドバイザーのKilian氏は「消費者やビジネスに与える影響は管理可能な範囲」と言っています。一方クリーブランド連銀はガソリン価格の上昇は今月の消費者物価を前月比0.8%上昇させるだろうと推測しています。
ガソリン価格の上昇がCPIを引き上げ、連銀の政策金利引き上げを後押しする可能性はありますね。
一方今後ガソリン価格が低下する材料としては、生産コストの高い「夏ガソリン」からコストの低い「冬ガソリン」に変わっていくことで、価格上昇圧力が緩和されると考えられています。
ガソリン価格は、住居費用やサービス費用に較べるとCPIに与える影響は小さいのですが、人件費の上昇などとともに、生産コスト上昇要因となり、事業者側はコスト吸収のため、雇用圧縮や販売価格引き上げに動くため、景気の悪化要因であることは間違いありません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます