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政策論争よりも「ねじれ国会」の解消が争点~WSJ

2013年07月05日 | 政治

昨日(7月4日)公示された参院選挙。内外の新聞紙面を各党の公約や情勢分析が賑わしている。外国人にとっても選挙結果に対する関心は高い。金融面では安倍政権がねじれ国会を解消して、経済成長を推進できるかどうか?が今後の投資スタンスに影響を及ぼすからだ。もっとも個人的な推測だが、すでに海外勢は自公政権の勝利をかなり織り込んでいて、選挙結果が株式・為替相場に与える影響は限定的だろう。市場は米国の景気回復の足取りを何よりも注目しているからだ。

WSJはAt forefront in Japan Vote:Stabilityという記事で、選挙の争点は個別の政策~経済成長、消費税の導入阻止、原発の継続・廃止など~よりも、国民がねじれ国会を終わらせ、政治的安定を望むかどうかという点だと論じている。

記事が引用する月曜日の共同ニュースの調査では、56.3%の人がねじれ国会を終了させたいと回答し、終了させたくない回答した人は29.6%だった。

選挙は水物であり、投票率によって左右されるところが大きい。また人気の上滑りということもある。しかし現時点での調査は安倍政権にかなり有利な情勢を示唆している。

単独の政党が、衆参両院で過半数を確保できなくなって四半期(1989年から)が過ぎ、17人の首相が交代した。小泉内閣の5年を除いた期間を16人で割ると平均1.2年弱である。

民主主義とは混迷するものである。特に国民が共通の目標を見失った時や価値観が多様化した時は。1989年頃は世界的には「冷戦の終結」で、アメリカが唯一のスーパーパワーと言われた時代(長続きはしなかったが)。日本はバブルの果実が熟れ過ぎて腐り始めた時期。高価だったがパソコンが一部オフィスで使われ始めた。やがてITの波とグローバル化は、世界の工場として中国を台頭させ、日本の製造業が空洞化。日本の就業人口は1995年にピークをつけ、その後緩やかに減少。セクター的には95年から05年にかけて第二次産業で4百万人の就業者が減り、第三次産業では1百万人が増えた。

この間国会は党利党略の政争の場となり、しばしば「国益」がなおざりにされた。

民主主義は混迷する。多様な価値観と利害が衝突し、際限ない議論が繰り返される。議論の中には正解が分からないものを多い。世の中にはAのルートでもBのルートでも結果はあまり変わらないということも多い。むしろAでもBでも一生懸命歩き通すことが肝心だ、ということが多いと私は感じている。

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1 コメント

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最後の3行、「目指すゴールがいっしょなら、どの手... (ふう)
2013-07-08 02:52:51
最後の3行、「目指すゴールがいっしょなら、どの手段をとるかより、より一生懸命やったほうが早く到達する、または多くの成果を得られる」 ということですね。

私は、鍼灸師ですが、「いろんな流派や治療手技があるけれど、その道の名人がやれば治療の結果は大体同じになる」という話は複数の先輩や師匠から聞かされていて、今回のお話もそれに通じると思いました。



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