米国のマスコミは金融・証券界を「ウオール・ストリート」と呼ぶ。日本で言えば兜町で株屋さんの世界を示すようなものだ。一方実業界や一般のビジネス・パーソンのことを「メイン・ストリート」と呼ぶ。大通りという意味だが、これに対応する日本語の言い回しを私は知らない。さて昨日(9月29日)のダウ大暴落はさすがにウオール・ストリートの住人だけでなく、株式投資に縁の薄い一般のアメリカ人つまりメイン・ストリートの住人をも相当驚愕させたようだ。
ニューヨーク・タイムズに想定問答形式で、メイン・ストリートの住人がファイナンシャル・アドバイザーにアドヴァイスを求める記事が出ていた。その中に「次はどんな靴が落ちてくるの?」What is the next shoe to drop?という文章があった。これは最近使われだした俗語で「既に起きたことに関連して次に何が起きるのか?」という意味だ。その語源を調べるためにhttp://www.urbandictionary.com/というインターネット上の俗語辞典を見た。この俗語辞典は普通の英々辞書などにはまだ登場しない俗語が出ているので便利だ。
その辞書にはWaiting for the other shoe to dropという形で紹介されいる。語源は次のようなことだ。「ある安ホテルに遅い時間に泊まった客がホテルマンから隣の部屋で先客が寝ているから、静かにベッドに入って欲しいといわれた。客は静かに衣服を脱いだ積もりだったが、片方の靴を落とし大きな音を立ててしまった。その音で隣の客は起きてしまったようだ。そこで客はこんどこそは音を立てないようにと慎重にもう一方の靴を脱いでベッドに入って眠りについた。ところが暫くして隣の客から『もう一つの靴は何時脱ぐのですか?」と声がかかった」
隣の客はもう一つの靴を脱ぐ時も大きな音がするのではないか?と思い眠ることが出来なかったのである。
さて本題に戻ると「次に確実に起きること」に対するファイナンシャル・アドヴァイザーの答は「個人は色々な融資を受けることが困難になるので、それを踏まえて対応しなさい」というものだった。既に脱がれた靴(既に起きたこと)は、幾つかの投資銀行や商業銀銀行の破綻や救済合併である。これを受けて銀行は貸出基準を強化した。クレジット・カード会社は利用限度を引き下げ始めている。ジャンボローンと呼ばれる大型住宅ローンもファニーメイなどへの売却が困難になってきたので、ローンの貸し手が減ってきた。ホームエクイティローンと呼ばれる二番抵当ローンも状況は同じだ。
次の次の靴は米国の消費不振による日本を含めた世界の不景気であることは間違いない。
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