24日のニューヨーク・タイムズにE-books start to take holdという記事が出ていた。Take holdとは「定着する」というイディオムで「電子書籍が定着し始めた」という記事だ。米国で電子書籍が本格的に売れ始めたのは昨年の11月にアマゾンがキンドルKindleという電子書籍用携帯端末を発売してからだ。この端末価格は発売当時より少し値下げされ現在359ドル(1ドル90円として3万2千円強)で販売されている。アマゾンは販売実績を発表していないが、業界関係者の推測では、26万台から100万台位売れているのではないかということだ。
ソニーも似たような読書用端末を発売している。名前はリーダーReader(最新モデルの名前はReader700)で、ソニー関係者によると2006年の発売開始以来30万台売れたそうだ。
因みにキンドルで電子書籍を購入するには1冊9.99ドル、ソニーのリーダー版は11.99ドルだ。
コデックスという書籍マーケッティング会社によると、アマゾンのキンドルは55歳から64歳の層に一番人気がある。ランダム・ハウスなどの出版会社によると、電子書籍(PC等各種のディバイスに対応するものをまとめて)の現在のシェアは1%以下だ。しかし過去1年で電子書籍の売上は3倍から4倍程度伸びている。またEdgar Sawtelle物語というベストセラーについてはアマゾンが売るこの本の2割は電子版だという。
電子書籍がどれ程伸びるかについてはっきりした予測はない。強気な予想としてはハーレクイン出版の電子版責任者は電子版はやがて紙版に拮抗するか凌駕すると期待している。
またアップルのiPhoneを使った電子書籍の販売も伸びていてソニーのリーダー版と拮抗するところまできている。
一方日本の電子書籍の状態はどうかというとソニーが2004年からリブリエ(米国のリーダーと同じ仕様)という書籍端末を販売していたが、07年5月に販売を取りやめ電子書籍端末から撤退した。
ではどうしてアメリカでは離陸しそうな電子書籍が、日本では頓挫しているのだろうか?理由は単純ではないが以下私の勝手な推測を上げてみよう。
- 米国の方が本の単価が高い。日本では新書や文庫で良い本がかなり安く読める。
- 米国の本好きは休暇に沢山の本をもってリゾート地に行き、読書をする習慣がある。彼等・彼女等にとって重い本を持ち運びするより電子書籍の方が便利。
- 日本では本の流通経路が複雑で出版社が電子化に積極的でない。
まあざっとこのような理由を思いついた。もっとも最近は漫画本などをPCやiPhoneなどで読むこともできるそうなので(やったことはない)、日本でも電子本が普及する日がくるかのしれない。
不況の昨今、日米とも引きこもって読書やゲームを楽しむ人が増えているようなので、この分野は数少ない明るいスポットというべきだろう。
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