昨今「働き方改革」が声高に叫ばれることが多い。
だが私は「働き方改革」を推進するには「暮らし方改革」を考えるべきだと考えている。
「働き方改革」の目的は、色々あるが政府や企業経営の観点から考えると「人口減少が続く中で働きやすい環境を作ることでより多くの人に労働力になって貰う・一人当たりの生産性を上げる」ことが大きな目標であるはずだ。
なぜなら経済成長は労働者の頭数と一人当たりの生産性の積で決まってくるからだ。
労働人口の減少は先進国共通の悩み。緩やかな人口増加を維持している米国も例外ではない。
その米国の中で、高い人口増加率とそれに伴う高い経済成長率を維持している州がある。ソルトレイクシティを州都とするユタ州だ。
WSJによると、2010年以降の全米の中核労働年齢層(25歳~54歳)の増加率は1%程度だが、ユタ州の人口増加率は10%に達している。
モルモン教の本山があるユタ州は元々出生率が高い上、それに加えて各地から移住者が増えているのだ。
ユタ州に移住者が増えているには幾つかの要因がある。一つは住居費が西海岸などに較べると安いことだ。これは子供の多い家族にとっては大きなメリットだ。だが住居費が安いだけで人は集まらない。雇用を生み出す産業があることが重要だ。
ユタ州はスキーリゾートなど観光産業で有名だが、ハイテク産業などその他の産業も伸びている。
ハイテク産業などの従事者が増えると外食産業など消費関連産業も増え、経済成長が促進するというプラスの循環が始まる。
トップレベルのスキーリゾートや自転車専用道路があるのもユタ州の魅力。働くだけでなく、アウトドアで余暇を楽しむ人にとって暮らしやすい土地であることは間違いない。
我が国では「休む」=「さぼる」と考えている人がまだまだ多いそうだが、このような意識は労働生産性を押し下げている。
リフレッシュすることで、活力と新しいアイディアが生まれるからだ。
つまり「働き方改革」を進めようと思うなら「暮らし方改革」を進める必要があり、暮らし方改革の一つの突破口は「休み方改革」を考えることである。
ユタ州から学ぶことは多そうだ。