金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプが吠えてもアマゾンの最大顧客は合衆国政府

2018年04月06日 | ライフプランニングファイル

アマゾンの株価が少し戻ってきた。4月4日には1,356ドルと安値をつけたが、昨日は1,456ドルまで値を戻した。アマゾン株に投資ている人は日々の激しい値動きにイライラしているかもしれない。

そんな人を勇気づける記事をWSJで読んだので、要旨を説明しよう。

それは合衆国政府の各機関~国土安全保障省からスミソニアン博物館まで~が、アマゾンのクラウドサービスAWSの顧客、という話だ。

アマゾンは詳細を発表していないが、調査会社のGBH Insightsによると、2015年には3億ドルだった米国政府とのビジネスは今年は28億ドルに拡大し、来年には46億ドルになると予想されている。かなり楽観的な予想のようだが。

さらにアマゾンは国防省との10年契約を結ぶことを試みているという。この契約は100億ドルの価値があるらしい。

アマゾンのクラウドビジネスは非常に利益率の高い商売である。昨年アマゾンのクラウドビジネスの売上高は170億ドルで、43億ドルの営業利益を上げている。北米でのアマゾンの小売売上高が1,060億ドルで営業利益が28億ドルだったことと比べるといかにクラウドビジネスが利益率の高いビジネスかということが分かる。

アマゾンはクラウドビジネスの利益を活用して、利幅の薄い小売業を伸ばし、それが実店舗小売業を圧迫している訳だ。

アナリストによると、クラウドビジネスの売上の1割は合衆国政府からのものだという。

米国政府はメインフレームというレガシーシステムからクラウドサーバーへの切り替えを促進している。その流れをうまくとらえたのがアマゾンだ。アマゾンは100名近いロビーストを採用して、合衆国政府に営業をかけている。

アマゾンAWSは、セキュリティ面での政府機関の信頼が高く、例えば米国輸送軍のトップレベルの機密を取り扱うことが認められた唯一の会社になっている。従ってアマゾンは米国輸送軍から、競争入札を経ずに契約を獲得することができるという話だ。

なおサンダース報道官によると「トランプ大統領は国防省のクラウド業者選択プロセスには関与しない」と述べている。

皮肉な話だが、トランプ大統領がアマゾンを口撃しても、おひざ元の政府・政府機関からアマゾンにビジネスが流れ、それによりアマゾンが小売業界でシェアを拡大するという一つの構図があるようだ。アマゾンが他のハイテク企業と違う強みを持っているとすれば、それはクラウドサーバ・ビジネスを通じて、巨大組織と長期にわたる契約を交わしてる点だ。アマゾンを軽視するべからず。

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