今日(19日)ニューヨークタイムズの「人気記事欄」を見ていたら「前立腺がんテストの効果は少ない」という記事が上位にあった。今米国で大きな話題になっているのは、A.I.G.の従業員に対する巨額のボーナス支払「事件」だが、読者にとっては前立腺がんテスト問題の方が関心が高かったようだ。米国では50歳以上の男性の大部分が前立腺がんテスト、PSA(前立腺特異抗原)血液検査を受けて毎年18万人以上が前立腺がんと診断されている。
だが最近発表された米国と欧州の二つの研究によると、治療効果と手術等のリスク・影響を較べると前立腺がんの治療は効果が極めて乏しい。そしてPSAテストの必要性まで議論が及ぶ可能性がありそうだ。
PSAテストで前立腺がんの疑いが持たれた患者は生検テストで腫瘍があるかどうか判定される。しかし早期発見が生存率を高めるかどう判断することは困難であった。
今回のテストの結果についてMemorial Sloan-Kettering Cancer Centaer のBach氏は「前立腺がんと診断され治療受けた患者が、その治療によって10年目以降にがんで死ぬことを防ぐ確率は50に1つだ。つまり50人の内49人は命にかかわることのない前立腺がんを治療するために不必要な治療を受けているということだ」と述べている。
不必要なだけならまだしも、前立腺がんの手術はインポテンツや失禁症を引き起こす可能性がある。また放射線治療は便通障害を起こす危険性がある。
米国ではPSAテストが1987年に導入されて以来、40歳以上の男性健康診断ではこのテストはルーティンの一部になってきたが、ガンの専門家達は新しい研究の成果を踏まえて、男性達は前立腺がん治療のリスクと効果を熟考してスクリーニングを受けるかどうかを決めるべきだと述べている。
余談であるが半年程前に「ものもらい」が出来たので眼科に行ったところ「ついでに白内障のテストを受けませんか?」といわれたのでツイツイ受けたところ、問題はなかったが5千円程取られたことを思い出した。ある年齢になると体のアチコチを定期的にチェックする必要があることは理解するが、お医者さんの中には、診療報酬を稼ぐため検査を薦める人もいるのではないかしらん?と思ったことを思い出した。
各種の健康診断やテストについては、早期発見の有効性等について実証的な研究をしてその結果を迅速に国民に知らせることが必要だと思う次第である。