最近のFTに中国内で共産党に対する二つの挑戦的な抗議活動が行われているという記事があった。
一つは元南京大学の教授郭泉Guo Quan氏が「中国共産党の一党独裁に反対し、中国に複数政党による選挙を導入するべきだ」と主張したことだ。郭氏は中国共産党に対する挑戦的な姿勢が党の逆鱗に触れ、教職職から降格されたと聞いたことがある。
もう一つは黒龍江省Heilongjiang他数省の農民が政府に強制収用された土地を取り戻し、再配分を求めるいう主張をインターネットで公開したということだ。土地の強制収用に対する抗議は既に中国各地で起きているが、今回の動きの特徴は距離の離れた複数の場所の人々が共同して抗議活動を行ったことと「推定される私的所有権」をベースとした返還請求という点だ。
上記の二つの動きの間には連携はないが、大きなな共通点がある。それは中国共産党の根本思想に対する挑戦ということだ。一昔前ならこのような行為は厳罰に処されたであろう。実際1998年に「中国民主党」の設立運動に関与した首謀者達は10年の懲役刑を受けている。先ほどの黒龍江省他の抗議運動の件では少なくとも8名が拘留されているとFTは報じている。
しかし私は今の中国政府はこれらの「反政府的・反共産党的」な活動に対して、以前ほど強行な弾圧を行わないだろうと見ている。何故なら北京オリンピックを控えているからだ。北京オリンピックを前にして欧米の人権擁護主義者やアクティビスト達の眼が光りだしている。
前述の二つの動きはこのような風向きの変化を見た上のことではないだろうか?
オリンピックの開催が直ちに民主化につながるものではないが、民主化運動にフォローの風であることは間違いない。オリンピックは中国の本当の姿を観察する良い機会である。