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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米中貿易戦争深刻化で米国株再び売り込まれる

2025年04月11日 | 投資
 一昨日(4月9日)急騰した米国株は、昨日(4月10日)再び大幅下落した。ダウは2.5%、ナスダックは4.31%、S&P500は3.46%下落した。
 WSJは「株価の下落は中国の関税が当初示唆されていた125%ではなく、145%だというホワイトハウスの発表により加速した」と書いている。
 私は一昨日の株価急騰は、空売り筋が締め上げを恐れて大急ぎで買戻しに入ったため、上がり過ぎた可能性が高いのでその反動で下落した面があると考えている。
 90日間の追加関税猶予ということで最悪の事態は回避できたかもしれないが、米中の貿易戦争がどうなるかは分からない状態なので、急激な株価上昇にはブレーキがかかる訳だ。
 中国は対抗措置を取っている。たとえば米国映画の輸入を削減する可能性を示唆した。
 トランプ大統領は「関税増加に伴う痛みは雇用と投資の増加による長期的な利得により相殺されるだろう」と述べているが、JPモルガンは今年後半に米国経済は縮小する可能性が高いと述べている。
 中国製品はアメリカの輸入品の約13%を占めている。アメリカ経済は、「米国によるデザイン、マーケッティング、販売と中国による製造というビジネスモデル」で成り立っているのでその転換は容易ではない。
2024年にアメリカは中国に1435億ドルの商品を輸出し、中国はアメリカに4389億ドルの商品を輸出した。
 トランプ大統領はこのギャップの解消を目指しているが、その過程で世界のサプライチェーンは大きく破綻し、景気の低迷が予想される。
 まだしばらくの間は乱高下の激しい相場が続くことは間違いない。

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トランプ大統領は市場が騒ぎ過ぎたので関税強化を一部停止

2025年04月10日 | 投資
 昨日(4月9日)午後トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルに「大半の国に対する特定の関税を90日間停止することを承認した」という内容の投稿を行った。この情報に株価は急反発。ナスダックは前日比12.1%、S&P500は9.5%、ダウは7.8%上昇した。
 この株価急反発をWSJはrocketedと表現している。Rocketはロケットだが、動詞として「(ものの)値段が急にあがる」という意味や「(望ましい状態に)急になる」という意味がある。
 U.S. stocks rocketed higher Wednesday after President Trump announced that he had authorized a 90-day pause on certain tariffs to most countries. 「米国株はトランプ大統領が大半の国について特定の関税を90日間停止することを承認したあと急騰した」という意味だがrocketという言葉を使っているのは、株価の急反発がロケット発射のようだったというニュアンスの他に望ましい状態になったという意味があるのかもしれない。
 ところでどうして大統領は急に上乗せ関税を90日間停止し、10%の関税に留めたのだろうか?
この質問に対し、大統領は“They were getting yippy,” Trump said when asked why he enacted a temporary rollback. “They were getting a little bit yippy, a little bit afraid.” と答えている。オンライン辞書を見るとyippyは「わーい、やった」という意味のスラングで興奮や喜びを表す感嘆詞とあるが、この場合は違うようだ。Yippyというスラングには厳密な定義はなくて、興奮状態や神経質になっている状態を指すときに使う言葉という説明が妥当だろう。
 この場合は「彼らは少し神経質になり、恐れていたので一時的に関税水準を引き下げた」と解するのが良い。
 その彼らとは誰なのだろうか?
 まあ国民と考えてよいだろう。多くの国民は関税引き上げが物価を押し上げると懸念しているが、その前にアメリカのように多くの国民の家計が株価と強くつながっている社会では株価の急落は生活設計に大きな影響を及ぼす。
 多くの国民は神経質にならざるを得ない訳だ。
 私はトランプ暴走にブレーキをかけるものはアメリカ国民の意向だと述べてきたが、昨日それが顕在化した。

 
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アップルの株価急落でマイクロソフトが再び時価総額世界一へ

2025年04月09日 | 投資
 昨日(4月8日)マイクロソフトの時価総額がアップルを上回り世界一になった。ただしこれは全面的な負け戦(いくさ)の中でマイクロソフトのダメージが相対的に少なかったという程度の話。
 トランプ大統領の包括的な関税政策により、ナスダックは過去5営業日で12%下落した。その中でアップルの株価は22%急落しているがマイクロソフトは6%の下落にとどまっている。
 アップルの株価が他のIT企業より大きく下落している理由はiPhoneの中国企業への依存度が高く、関税の影響を強く受けるからだ。UBSのアナリストによるとトランプ関税によりiPhone16 Pro Maxの価格は30%近く上昇するということだ。
これに対しマイクロソフトの主な商品はソフトウエアで、中国等外国からの輸入に依存する割合が少なくトランプ関税の影響を受け難いと考えらているからだ。



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関税に関する誤報道で瞬時暴騰した株式相場が示唆すること

2025年04月08日 | 投資
 昨日(4月8日)取引開始後S&P500は4.7%下落していたが、10時過ぎに「ハセット氏:トランプ大統領は中国を除くすべての国に対する関税の90日間の一時停止を検討中」と書かれたニュースがSNSで広がり始めると株価は10分程度の間に猛烈に上昇し一時前日比プラス3.4%に転じた。
ハセット氏というのは国家経済会議のケビン・ハセット委員長を示している。
WSJによると10時18分までにCNBCは上記の文章をキャプションで流し、10時20分ロイターはCNBCからの情報として同じニュースを配信した。
しかしその後ホワイトハウスがそのような一時停止が議論されていることを即座に否定したため株価は急落し、結局この日の終値は前日比11.83ポイント0.23%ダウンで終了した。
 誤ったニュースが流れた理由についてWSJは「ハセット氏が月曜日の朝早くにフォックスニュースで行った印ダビュ―の不正確な要約だったかもしれない」と報じている。

記事によるとこの誤報道で10分程度でS&P500の時価総額は2.4兆ドル(約350兆円)増加し、また数分で同額以上の時価総額を失った。
これは何を意味すののだろうか?
一つはいかに米国株式市場がニュースの見出しに迅速に反応するか?ということだ。
もう一つは多くの投資家が「そろそろトランプが相場下落に歯止めをかけるため関税政策を緩めるあろう」と期待していることだ。
もし本当にトランプがグリップを緩めると売られ過ぎた相場が急反発する可能性はかなりあると考えておいてよいだろう。
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日経平均、下値抵抗線を割り込んだが・・・

2025年04月07日 | 投資
 今週も日本株はトランプ関税問題で大幅下落のスタートとなった。
 私は日本株投資を主戦場に考えていないので、詳しいことは分からないが、今朝の日経新聞電子版には「日経平均が過去最高の下落幅を記録した2024年8月につけた安値31,458円を保てるかが焦点だ」と書いていた。
 ふたを開けてみると現在(9時37分)の日経平均は31,386円。一時3万1千円を割り込む水準まで下落したが若干反発した。
 確かに3万1千円台の前半が当面の攻防戦になるだろう。こんな中野村証券の解説記事を見ると6月末の日経平均は3万6千円で12月末は3万9千円になるとか。目線を足元に落さず先を見ろ、ということか?
 しかしこれほど足元が揺れると足元が気にならないわけがない。
 WSJはStock futures sink as markets prepare for tumultuous weekという記事で日曜日の夜間取引で米国株先物が大幅に下落(ナスダックは5%以上)し、日経平均も場が開いて8%以上下落したと書き出している。
記事の概要を紹介しよう。

米国株先物が急落し、日本株が取引開始時に8%下落するなど、世界市場はトランプ大統領の関税政策により混乱しています。これにより、投資家心理が悪化し、リセッション懸念が高まっています。原油価格やビットコインも大幅に下落しており、米国の小売業者は関税が消費者の財布に与える影響を懸念しています。トランプ大統領は「経済革命」を主張しつつ、関税政策を擁護していますが、市場の不安定さが続いています。
主要ポイント
トランプ大統領の関税政策により、米国株先物が3%以上下落、日本株は8%下落。
米国株式市場で6.6兆ドルの価値が2日間で失われた。
原油価格とビットコインが急落し、リセッション懸念が高まっている。
トランプ大統領は関税を「経済革命」として擁護し、解決策と主張。
米国の小売業者が関税の影響について消費者と対話を開始。
日本株式市場でサーキットブレーカーが作動し、取引が一時停止。
トランプ大統領がイスラエル首相と関税について議論予定。
一部の国(インドネシア、台湾など)は米国への報復を控える方針。
スタンレー・ドラッケンミラー氏が関税率10%以上に反対表明。

記事の中で気になったのは、インドネシアや台湾が米国への報復を控えると報じられていることだ。その理由をAIに解説させた。解説内容は概ね正しいと思う。
日本も同じ対応になるのだろうか?日本株の激しい下落は日本の手詰まりを見越したものなのだろうか?

インドネシアや台湾が報復措置に出ない理由は以下の通りです:
経済的依存
貿易関係の重要性: インドネシアや台湾は、アメリカとの貿易関係が非常に重要であり、報復措置を取ることで自国の経済にも悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重になっています。
国際的な圧力
国際的な協調: 他国との関係を考慮し、過度な対立を避けるために報復措置を控える傾向があります。特に、経済的な安定を重視する国々は、対話を重視することがあります。
経済成長の維持
成長戦略: 自国の経済成長を優先するため、トランプ政権の関税政策に対して報復することよりも、経済の安定を図ることが重要と考えています。
影響の評価
影響の評価: どのような報復措置を講じても、自国にとって逆効果になる可能性が高いと判断しているため、報復を避ける選択をしています。
これらの要因により、インドネシアや台湾は報復措置を取らない方針を選択していると考えられます。


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