追憶の彼方。

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キラーストレス

2016年11月22日 | 健康
人間は過剰なストレスを受け続けるとそれを上手くコントロールできなくなり、自殺や、脳細胞、血管を破壊して死に至らしめることがある。キラーストレスとは色々なストレスが積み重なってコントロール不能に陥り、人間を危険な状態に陥れるものである。

日本に於ける死因の上位はガン、心臓発作,脳卒中が上位3位、自殺が7位である。
これらの死因とキラーストレスとは脳科学や分子生理学の研究からその因果関係が極めて近いことが明らかになっている。
就労者がストレスが原因で発症する疾患は色々あるが特に循環器系では高血圧、冠動脈疾患、内分泌関連では肥満、糖尿病が挙げられており、これらはキラーストレスが主因であることが多い。
過剰なストレスを一定期間受け続けると、肥満や糖尿病、高血圧が発病し、動脈硬化が進んでしまった結果、脳卒中や心臓発作(冠動脈疾患)が発症し、死に至るという事である。


大阪樟蔭女子大学の夏目誠教授が、ライフイベント(生活上の出来事)毎のストレスを得点で表して居る。
勤労者のストレス得点から上位のものを抜き出すと次の通りである。
配偶者の死ー83点 会社の倒産ー74 親族の死ー73 離婚ー72 夫婦の別居ー67
転職ー64 自己の病気ー62 業務上のミスー61 左遷ー60 単身赴任ー60点。
このライフイベントのストレス得点を用いることで、ストレス度合いについてセルフチェックを行うことが出来るようになっている。一年間に経験したライフイベントの得点を合計して、どれくらいストレスが蓄積しているかを把握することが出来る仕組みである。
通常であれば、合計点が300点代であることが多いが、600点を超える場合、高ストレス状態に相当すると考えられている。

NHKスペシャルで放映された「キラーストレス」、その中で世界中で注目される心の病を防ぐ最新の2つのストレス対策が紹介された。
認知行動療法をストレス対策に応用した「コーピング」。そして、瞑想をベースに生まれたプログラム「マインドフルネス」。

先ずコーピングとは、ストレスをどのように受け止め、どのように 行動するか、という対処方法のことである。
コーピングの考え方の基本にあるのはストレスは「認知=考え方の歪み」によって生ずるというものである。考え方は感情に影響を与える。感情は自然に生ずるものでは無く実際は「考え方」から生まれる。
ネガテイブな考え方はネガテイブな感情を作り、それがストレスになるという考えである。誰しも考え方には偏りがあり、言わばそれが拘りであるが、ストレスを強く感じる人はその拘りが「常に」「どのような状況でも」発生させてしまう。
苦しい,辛い、腹が立つと言った感情に囚われたとき、それはどのような考えから来ており、別の見方をすればどのような考え方が出来るのかと言う見直しを行い、改善することがストレス軽減に大いに役立つというものである。
大きなストレスに繋がる「認知の歪み」を改善する方策にはどのよなものがあるか。

コーピングの提唱者であるバーンズは「認知の歪み」を10パターンとしている。
主なものを取り上げると次の通りである。
1)(All or Nothing)思考
すべてについて、「全か無か」「白か黒か」で判断する思考のこと。極端に完璧であることを求める。このように考えると自分にも他人にも満足が出来ず絶えず不満が鬱積しストレスとなる。
しかし、世の中に「完全、完璧」なものは殆どない。そもそも人間も不完全なもので絶えず失敗をする、その失敗から学び、改善していくことで成長していくのである。
改善するには   ・「100点でなければ失敗」ではなく「80点なら成功」 ・「好きではないが、嫌いでもない」・「善行とは別に、犯罪や迷惑をかけるものでないなら悪行があってもよい」、このように考えてみると、ガチガチに縛られていた考え方や行動が少し楽になり
ストレスから解放される。

2)過度の一般化
1回や2回の失敗や悪い出来事を一般化し、常に失敗するのだ、悪い出来事が絶えず発生するのだとと決めつける考え方。
一つの事象を過度に一般化すると、他の可能性が考えられず、憂うつになったり、立ち直れなくなる。この考え方は主に対人関係で起こりやすい問題である。  たとえば、近所の人に挨拶をしたのに反応がなかった時、普通の人なら「聞こえなかったのかな?」と考え、あまり気にすることはない。しかしこの考え方が強すぎると、「きっと嫌われたんだ」「みんな私のことが嫌いなんだ」となってしまう。
実際には聞こえなかったのかもしれないし、タイミングを逃しただけかもしれない。また、その人が返事をしてくれなかったから、他の人も返事をしてくれないとは限らない。
この考え方が強くなると、「いつも」「絶対」「みんな」というような言葉がが多くみられる。
改善するには…これらの言葉使わないようにすることで一般化の軽減につながる。 「いつも」ではなく「今回は」、「絶対」ではなく「もしかしたら」、「みんなは」ではなく「あの人は」とする。 ポイントは、先入観を入れずに目の前の事象のみを見ることである。

3)べき思考
何かやろうとする時に「すべき」「せねばならない」と断定的に考える思考。
断定するために、それが実現しないことに怒り、憤り、不満を感じることでストレスになる。
この考え方は他のパターンと違い、「すべき」と一緒に「一般的に」「常識的に」「当然」のように自分も含めた「すべて」という言葉が口癖として発せられる。
「白黒思考」とよく似ているが違いは「べき思考」の場合は黒すら認めず、人にも「すべき」ことを押し付ける。 「べき」思考の根底には「強い不安」があり、「みんなと同じ」であることで「安心」する。また、みんなと同じことを他人にも押し付けるのは、「みんな同じ」という枠からはみ出しているものに対して不安を感じるためと考えられる。   
改善するには…まずは、「べき」「せねばならない」「一般的に」など断定的な言葉を使わないようにし、その上で「してもいいし、しなくてもいい」と言葉の置き換えをすると、思考やストレスを和らげることができる。

4)物事の個人化
何か良くないことが起こった時、自分に責任がない場合でも自分のせいにしてしまう考え方。
この思考パターンを繰り返すと、罪悪感、後悔、自責が強くなり、結果的に大きなストレスとなる。
・「子供の成績が悪いのは、私がしっかりした母親ではないからだ」  ・「課長が部長に叱られているのは、もしかして私が何かミスしたせいかもしれない」 
自分と関連付ける必要がないこと迄関連付けてしまうのは、自分と出来事を分けて考えられていないことが原因である。
子供の成績が悪いのは、子供が勉強しない、努力をしないことが原因である。そして成績が悪くて困るのは、あなたではなく子供である。 また、部長に叱られているのは課長。もしも原因があなたにあるのなら、課長は後であなたに注意する。
改善するには…まずは、目の前で起きている現実を見るように心がける。
そして、事実だけを言葉にしてみることが大切である。事実だけを確認することで、関係ないことまで自分と関連付けないことが「楽」だと認識することが、このクセの改善に役立つ。

認知の歪みの改善のポイントは考え方のクセを変えること。考え方を変えるには、言葉に気をつけることが重要で、ネガティブな言葉、断定的な言葉、否定的な言葉を多用すると考え方がマイナス方向に偏る。
また、事実を推測、誇張する見方が考え方の偏りを助長させる。それがクセになることが、自分で自分を苦しめ結果大きなストレスとなるという事である。


次はキラーストレス…(2)
マインドフルネス等

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